法大のエースでDeNAからドラフト2位指名されている篠木健太郎投手(4年)は3日、東京六大学野球秋季リーグの明大1回戦に先発。7回3失点に抑えたが、チームは2-4で惜敗。1年生の秋のリーグデビュー以降、通算14勝(12敗)を積み重ねてきた…
法大のエースでDeNAからドラフト2位指名されている篠木健太郎投手(4年)は3日、東京六大学野球秋季リーグの明大1回戦に先発。7回3失点に抑えたが、チームは2-4で惜敗。1年生の秋のリーグデビュー以降、通算14勝(12敗)を積み重ねてきた右腕にとって、これが大学最終登板となる可能性もある。
明大打線を6回まで2安打無失点に抑え込んでいた篠木だが、味方打線の援護もなし。両軍「0」行進で迎えた7回、相手の7番・榊原七斗内野手(2年)に右翼フェンス直撃の先制適時三塁打を浴び、続く宮田知弥内野手(3年)にも2ランを被弾。この回限りでマウンドを降りた。
「ストレートは今季一番いい感覚で投げられました。7回に打たれたのは、甘めのコースに入った失投ですが、今後に生かしていきたいと思います」。篠木は試合後、清々しい表情で、大学生活最後となるかもしれない登板を振り返った。
今季はこれまで「大島(公一監督)さんにお願いして、1戦目と3戦目に投げさせてもらい、両方勝てるように、いろいろ自分に制限をかけながらやってきました」と語るように、全カードの1回戦と3回戦に先発(慶大には2連勝したため、3回戦はなし)。3日現在、リーグ最長の59イニングを投げて3勝2敗、防御率2.59をマーク。今年に入ってから、最速157キロの剛速球を封印して140キロ台中盤にとどめ、コントロールとスタミナ配分を優先してきたのも、週に2試合先発しチームに勝ち点をもたらすためだった。
ただ、この日だけは“制限解除”。「ラストになるかもしれないので、少し力を入れて、この1試合に思い切り懸けました」と胸の内を明かす。結局、4年間を通じて天皇杯を手にすることはできなかったが、「ずっと大島さん、高村(祐助監督)さんに『大丈夫か?』と心配していただきながら、僕からお願いして投げてきました。僕がこのチームに残したかったのは、エースとしてマウンドを守り続ける姿です。結果として優勝できれば一番よかった。僕の力不足でこういう結果になってしまいましたが、たくさん投げられて充実した秋のシーズンでした」と悔いはない。
来年はいよいよプロの世界に飛び込む。おそらく“制限”を設けていては通用しないだろう。フルスロットルで投げつつ、長いシーズンで好不調の波を最小限に抑えるべく、パワーとスタミナ両方のアップが求められるはずだ。もっとも、篠木の潜在能力はいまだ計り知れない。打撃も右投げ左打ちで、大学通算打率.256(78打数20安打=3日現在)。走っても50メートル5秒86を計測し、チーム随一の俊足である。鍛え方次第では、想像を超える凄い投手になりそうな雰囲気を漂わせている。
「大学でこれだけ投げさせてもらえたからこそ、わかったことがたくさんあります。大島さんには感謝しています」。エースが試合後の会見で実感を込めてこう語ると、隣に座る指揮官は少し照れくさそうにうつむいた。
(Full-Count 宮脇広久)