DeNA5年目の森敬斗はここまで日本シリーズ5試合に遊撃でフル出場 大舞台でのプレーが、22歳を成長させる。DeNAの森敬斗内野手は、ここまで日本シリーズ全5試合に遊撃でフル出場。クライマックスシリーズ(CS)も全8試合にフル出場して、下克…
DeNA5年目の森敬斗はここまで日本シリーズ5試合に遊撃でフル出場
大舞台でのプレーが、22歳を成長させる。DeNAの森敬斗内野手は、ここまで日本シリーズ全5試合に遊撃でフル出場。クライマックスシリーズ(CS)も全8試合にフル出場して、下克上の一翼を担った。プロ5年目に火をつけたのは「危機感」だった。
2019年ドラフト1位で桐蔭学園高から入団。背番号は1桁の「6」を与えられ、誰しもが若き遊撃手の定着に期待した。2022年には61試合に出場も、4年目の昨季は初の開幕スタメンを勝ち取りながらわずか9試合で打率.165に終わった。シーズン後には気持ちに変化が起きた。
「同学年がドラフトで入ってきて、さすがに負けられないなと。今まで気を抜いていたわけではないんですけど、より一層気が引き締まったのはあります。それに毎年怪我をして、同じような結果が続いていた。何かを変えないといけない、現状打破が大事だというのは強く思いました」。自ら好打者・近藤健介外野手(ソフトバンク)に志願してオフの自主トレをともにした。
迎えた勝負の5年目。しかし、開幕戦で遊撃を守ったのは「負けられない」と思っていた同学年・ドラフト4位で東洋大から入団した石上泰輝内野手だった。ルーキーながら、オープン戦16試合で打率.327としっかり結果を残して掴んだ場所。その時点では“負け”を認めるしかなった。
「こういう舞台でプレーできて幸せ。いい準備ができていたってことかな」
森敬は当時を振り返り、素直な思いを明かす。「オープン戦で石上がめっちゃ打っていて、そのままいって……。自分にもいつかチャンスはくると思っていたけど、このままだったらクビになる可能性もあるなって」。焦る気持ちを抑え、「1度のチャンスを掴めるように」とファームでコツコツ積み重ねると、5月10日にようやく初昇格の機会が訪れた。
8月には約1か月の登録抹消があったが、9月7日に再昇格して以降は遊撃でレギュラーを掴み、ポストシーズンでの飛躍につなげた。シーズンでは71試合の出場ながら、CSでは強肩を生かした守備に加えて計8試合で打率.307(26打数8安打)、巨人とのファイナルステージ最終戦では9回に好走塁で決勝点につなげた。日本シリーズでも打率.278(18打数5安打)と奮闘している。
「遅いですけど、自分の中では本当に危機感があったので。ずっとファームで準備してという感じでやれていたので、こういう舞台でプレーできてすごく幸せです。いい準備ができていたってことかなと思います」。走攻守で高いポテンシャルを誇るからこそまだまだ課題もあるが、ワンプレーごとにかけがえのない経験を得ている。(町田利衣 / Rie Machida)