侍ジャパンの開幕投手に決まった巨人井上温大投手(23)が、勝利のマーチの先頭を切る。宮崎キャンプ第2クール初日の2日、「ラグザス presents 第3回プレミア12」での初戦オーストラリア戦(13日、バンテリンドーム)での先発登板を見据え…

侍ジャパンの開幕投手に決まった巨人井上温大投手(23)が、勝利のマーチの先頭を切る。宮崎キャンプ第2クール初日の2日、「ラグザス presents 第3回プレミア12」での初戦オーストラリア戦(13日、バンテリンドーム)での先発登板を見据え、井上はテレビカメラの前に立った。気温30度を超え、季節外れの真夏日に汗を垂れ流しながら受け答える表情に、1つの決意をにじませた。

何度も戦うプロ野球とは打って変わって、初顔合わせの一発勝負。データ野球は、今やこの世界の常識になっている中で、入れておきたいデータは「ないっすね」と即答した。所属チームでは、スコアラーが用意したデータをもとに戦略と遂行を繰り返すが「シーズンとは違うと思います。そんなに気にしても、そこに投げられるコントロールもそこまでないんで。1回しか勝負しない。その試合で感じながら投げることも大事だと、戸郷さんにも言われたので」と、脱ス“コアラ”ー投法で臨む覚悟を口にした。

開幕投手を井端監督から言い渡された後、不安と焦りが入り交じり相談した先輩・戸郷に言われて、少し吹っ切れた。相手の弱点を突くのではなく、こちらの持ち球を存分に発揮。その上で、18・44メートル先にいる打者から感じ取りながら抑える、データ度外視の投球を思い描いた。もとをたどれば戸郷もさらに先輩の菅野から教わった短期決戦での戦い方だった。「低めに投げることも大事だけど、高めも良いって聞く。投げてみて感じながらやりたい」と感覚を頼りに投げ込む。

オーストラリアには縁もゆかりもない。「イメージもないです。海みたいな感じです」とカンガルーでもなければコアラでもない。頼もしいくらい先入観ゼロの井上から、世界一への大行進が始まる。【栗田成芳】