世界陸上競技連盟の独立監視部門のインテグリティー・ユニット(AIU)は1日、男子競歩選手の池田向希(26)=旭化成=が、ドーピング違反の疑いで暫定的な資格停止処分を受けたことを発表した。トップ選手に対し、競技会、あるいは日常の抜き打ち検査…

 世界陸上競技連盟の独立監視部門のインテグリティー・ユニット(AIU)は1日、男子競歩選手の池田向希(26)=旭化成=が、ドーピング違反の疑いで暫定的な資格停止処分を受けたことを発表した。トップ選手に対し、競技会、あるいは日常の抜き打ち検査で血液データを蓄積して変化を調べる「生体パスポート」で疑わしい数値を示したという。

 池田は2017年に静岡・浜松日体高から東洋大に入学。21年に卒業し、旭化成に入社後も、埼玉・川越市の東洋大を練習拠点として21年の東京五輪男子20キロ競歩で銀メダル獲得した。その後、22年に本人の希望で独立。主に東京に拠点を移して競技活動を行い、22年の米国・オレゴン世界陸上でも同種目で銀メダルを獲得。今年のパリ五輪は同種目で7位入賞した。競技以外では「みちょぱ」の愛称を持つタレントの池田美優の「はとこ」としても知られる。

 22年まで、池田を指導していた東洋大の酒井瑞穂コーチは「一体、何が起こっているのか、とても、驚いています。東洋大で活動していた時は、毎日の練習実績、食事記録、体調記録、定期的な血液検査、体組成の変動など細かくデータを取っていました。スポーツを行う上で基本となるトレーニング理論やスポーツ栄養などの知識をもとに日々、取り組んでおり、ドーピングの力を借りるなど全く頭になかったし、池田も同じでした。日本陸連からのアンチドーピングの教育を受けており、実践してきました。これまで年に何度もAIUの抜き打ち検査を受けて、すべて問題ありませんでした。月に一度の血液検査でも、異常値が出たことはなく、当時のデータもすべて残っています。血液ドーピングの方法も分かりませんし、日本でそのようなことは行われていることも聞いたこともありません」と困惑した様子で話した。

 現在は離れて活動しているが、酒井コーチは元教え子の状況に心を痛めている。「競技会で顔を合わせることもありますし、変わった様子はありませんでした。とても、心配しているし、潔白であることを願っています」と神妙に話した。

 池田と同期の川野将虎(26)=旭化成=は現在も東洋大を拠点に練習をしている。