神奈川県警の駅伝部が28年ぶりに東日本実業団対抗駅伝に挑む。元日のニューイヤー駅伝の出場権をかけ、国内トップ級の選手たちが競い合う舞台。渡辺六貴(むつき)主将(29)は「今年は全国への第一歩。あきらめず、たすきをつなぐ警察官の姿をみてほし…

 神奈川県警の駅伝部が28年ぶりに東日本実業団対抗駅伝に挑む。元日のニューイヤー駅伝の出場権をかけ、国内トップ級の選手たちが競い合う舞台。渡辺六貴(むつき)主将(29)は「今年は全国への第一歩。あきらめず、たすきをつなぐ警察官の姿をみてほしい」と話している。

 10月中旬、日産スタジアム(横浜市港北区)近くの公園を20~30代のランナー8人が力強く走っていた。県警の駅伝特別訓練員だ。週1回、全員で集団走をする。

 先頭を引っ張った厚木署員の竹上世那(せな)さん(25)は、2020年の箱根駅伝で関東学生連合の一員として山下りの6区を駆けた。安全なコース取りをしてくれた白バイ隊員にあこがれ、県警へ。いまは交番勤務で当直もある。「練習量の確保が課題。どんな環境でも全力を出してニューイヤー駅伝をめざしたい」

 駅伝特練は1981年に警察官の体力向上などを目的に始まった。警察の全国大会で4位に入るなどしたが、大会が廃止され、2001年に特練も活動を休止。12年に復活し、警視庁などが参加する関東警察駅伝に出場してきたが、この大会も台風や新型コロナウイルスの影響などで18年度を最後に開かれなくなった。目標を失った。

 昨年、埼玉県警が東日本実業団対抗駅伝に出場した。「いずれニューイヤー駅伝へ。その予選となる実業団対抗に出場する」。神奈川県警も目標を明確に定めた。

 今年、チーム上位7人の5000メートルの平均タイムが出場資格の16分30秒を切り、出場を決めた。

 ただ、壁は高い。10位以内に与えられるニューイヤー駅伝の出場権を、富士通やホンダといった強豪を含む約40チームで争う。「厳しい戦いになるが、実力を出し切り、強くて速い県警をみせたい」と県警教養課の山下大輔監督(50)。まずは25位以内が目標だ。

 前回、28年前は41チーム中28位だった。当時1区を走った県警の有原馨警務課長(57)は「結果がすぐに出なくても、努力し続けることを駅伝で学んだ。県警にこういうチームがあることを知ってもらいたい」という。

 大会は11月3日午前8時に埼玉県庁をスタート。旧中山道などを通り、7区間76・9キロで熊谷市の陸上競技場をめざす。TBSが午後3時から関東ローカルで放送を予定している。(村上潤治)

     ◇

〈特別訓練員(特練員)〉神奈川県警本部長の指名を受けた警察官が柔道、剣道、逮捕術、駅伝、拳銃の5種目で、技術などを磨くため特別に訓練にあたる。計約90人。10月22日に東京の日本武道館で開かれた全国警察柔道大会(第1部)では柔道特練員が男子団体戦で2年連続優勝した。