阪神の藤川球児新監督(44)が31日、高知県安芸市で行われる秋季キャンプ(11月1~17日)のテーマに「没頭」を掲げた。自身の経験も踏まえ「やった人間しか勝ち上がっていない」と若虎へゲキを飛ばし、取り組み不足の選手は“強制送還”を辞さない…

 阪神の藤川球児新監督(44)が31日、高知県安芸市で行われる秋季キャンプ(11月1~17日)のテーマに「没頭」を掲げた。自身の経験も踏まえ「やった人間しか勝ち上がっていない」と若虎へゲキを飛ばし、取り組み不足の選手は“強制送還”を辞さない考えも示した。チームは同日、高知入りした。

 短い2文字に明確なメッセージを込めた。監督として初めて迎える秋季キャンプ。テーマを問われた藤川新監督は「没頭」と迷いなく答えた。

 「一心不乱に。特に若い選手には周りが見えなくなるくらいの集中力を持ってほしい。気が遠くなるまでの練習というのは実はみんなやってきている。その(気が遠くなるような)シーンがきた時に『来た、来た』と思ってもらえるような、そういう選手が一人でもいると、その選手たちは強くなると思う」

 自身の経験も踏まえての言葉だった。「毎年、この時期も春のキャンプもそうだった。雨が降って寒いけど、自分の体から湯気が出てくるくらい投げていたとか、帽子のつばから汗が垂れながら、それでも投げていたとか」。高卒新人から球界を代表する守護神に上り詰め、米国へと海を渡った。輝かしい球歴の1ページに記された、若かりし苦闘の日々を思い起こしながら言葉を紡いだ。何千球と腕を振った結果、実際の試合で“究極の1球”につながるとし「やった人間しか勝ち上がってないというところはある」と断言した。

 39人の大所帯で臨む秋季キャンプ。中には「没頭」できない選手もいるかもしれないが、藤川新監督は厳しい姿勢で臨む構えを明かした。「うまく取り組めない選手は、平田(2軍)監督も『いつでも帰してくれ』と(言っている)。プロである以上、それはあるかもしれない」と“強制送還”も辞さない考えを示した。「コーチの首根っこをつかまえて『気持ちがない選手を何とかしろ』と言う気はない」。選手を一人の大人として扱うからこそ、主体性なき者に居場所はないとした。

 一方で「人間の集中力が持つ時間なんて限られている。グラウンドでは必死で頑張って、夕食の時とかはとにかく明るく、リラックスして栄養をとって、ゆっくり寝て、細かいこと、古くさいことを言うつもりはない」とオンとオフのメリハリを強調した。

 高知空港に到着すると、大きな拍手と声援で迎えられ、地元凱旋(がいせん)を果たした。練習漬けの17日間。“球児流”の秋季キャンプが幕を開ける。