自動車会社の自動車部とは?

12月26日、トヨタ自動車内に正式に自動車部が設立されることが決まった。

以前ならば、ラリーやジムカーナをはじめとする本格レースに参戦する社員、仲間内でカートに興じる社員などクルマに関する様々な活動を社内で別々に行なっていた。自動車部の発足を契機として、そうした活動を社内公認の部活動の中で行なっていくことになったのだ。

自動車部が今年4月16日に開催した新入社員歓迎走行会を開催したところ、新入社員のおよそ1割にあたる70名が入部することになった。

「クルマに乗った瞬間に、参加したみなさんの目の色が変わっていくのがわかりました。大学の自動車部で活動していたような人たちでも、オフロードで岩のある山を運転していくような経験はなかなか出来ないでしょうから」

関係者はそのように証言する。

 

真剣にクルマで遊ぶことで得られる人材育成

 では、80年以上の歴史を誇るトヨタ自動車の歴史のなかで初めて、自動車部が設立されるに至った背景はどのようなものなのだろうか。

自動車部の活動の目的は大きく分けて、3つある。

1つ目が、人材育成のための機会を設けるためだ。

例えば、部活動の一環としてカートのレースに出場するとする。そのレースに向けて、油にまみれながらクルマ造りを自らの手で行なうことによって、クルマの性能を上げていくために何をすればいいのかを学んでいくことが出来る。そして、自ら運転することで、運転技能も向上していく。業務外でも楽しみながら、真剣にクルマと向き合う過程で自然と社業につながる様々なことを学んでいけるのだ。

「『好きこそものの上手なれ』と言いますが、好きなことをやっていくことで困難なミッションを乗り越えるための心が養われますし、真剣にクルマで遊ぶことで多くのことを学べます。それは社業にも必ずや活きてくるはずです」

 部活動に携わる関係者はそう、口をそろえる。

 

80年の歴史を誇る会社の社会貢献

上記の人材育成から派生する2つ目の目的が、社会貢献だ。トヨタ自動車が80年以上の歴史を誇るのは、それだけ多くのお客様に支えられてきたからだ。

 参加者はこのように話している。

「モータースポーツを通じて培った運転技術を広めていくことで、安全な交通社会を実現したいと考えています」

実際に、自動車部に参加しているのは、技術職の社員だけにとどまらない。事務職の社員も含め、営業部門に従事する社員も含まれている。部活動を通して得た知識や技術なども、社会に還元できるような仕組みを造る為に販売店等と協力しながらトライアル中だ。

 

所有する喜びとクルマに関する理解

そして、3つ目の目的が社内でのクルマに関する理解を深めていく活動だ。

昨今はカーシェアリングも徐々に世間に浸透しつつある。昔のように、移動の手段としてマイカーを所有したいと考える人の数は特に都市部においては頭打ちになってくることが予想される。そのなかで、自分の車を持つ喜びとは何かを、部活動に打ち込むことで、考えて行く機会が得られる。マイカーを所有する喜びを覚えることは、顧客が買いたいと思えるような車作りにも、その魅力を伝えるためにも欠かせないのだろう。

もちろん、自動車部の設立には、社内のプロジェクトとも無縁ではない。先日、スポーツカーの新ブランドである「GR」シリーズの設立をトヨタ自動車は発表した。およそ20年ぶりにスポーツカーの本格的な制作に取り組んで行くことを決めたのは、モータースポーツを通して得られるものが、一般家庭のユーザーの乗る車の開発にフィードバックする上で大切だと会社が判断したからだ。このタイミングでの自動車部の発足は、必然のタイミングだったのかもしれない。

 

創業当時の熱い想いへの原点回帰を目指して

トヨタ自動車が設立された当初は、社内には自動車好きであふれかえっていた。ただ、そこから会社として発展していく段階で、収益を重視する色合いも強くなっていった。その過程でスポーツカーそのものや、スポーツカーにかかわることで得られるものへの関心が薄れつつあった。

ただ、豊田章男社長の率いるトヨタ自動車が掲げているのは、「もっといいクルマづくり。」そのためには、創業当時のような車好きの人が車を作るという、原点への回帰が必然だった。

車を愛してやまない人たちが、その情熱を車の開発に、製造に、販売に注いでいく。

それこそが、これからの時代に求められるクルマと、クルマを中心とした社会作りの最後の重要なピースになる。「創業当時のようにクルマを愛する社員で溢れる会社」関係者はそんな想いを抱いて、これから自動車を作る会社のなかにある自動車部の活動を進めていく。

 

 

 

中部ジムカーナ選手権 第8戦  トヨタ自動車部参加者インタビュー&フォトギャラリー

 

トヨタ自動車社内の有志活動であるトヨタ自動車部

9月3日 キョウセイドライバーランド にて 中部ジムカーナ選手権 第8戦に参加しました。

レースの模様(フォトギャラリー)とインタビューはこちらから。

 

 

ジムカーナ選手権フォトギャラリーはこちら

トヨタ自動車部 上本昌彦氏に聞く ジムカーナとは?

 

 

トヨタ自動車部とは?  トヨタ自動車部 ジムカーナ部会代表 坂本竜男氏

ジムカーナレースインタビュー トヨタ自動車部 横山和彦氏

ジムカーナレースインタビュー トヨタ自動車 水谷正博氏

ジムカーナレースインタビュー トヨタ自動車 緒方和良氏

ジムカーナレースインタビュー 上本昌彦氏

トヨタ自動車部 上本昌彦氏に聞く ジムカーナとは?

編集部 ジムカーナとはどういう競技ですか?

上本氏 ジムカーナというのはこういった舗装のコースを朝1本、午後1本でタイムアタックをする、タイムアタックのトライアル競技となっております。車によってクラスが分かれていて、クラスによって規定があり規定がゆるいナンバーのないクラスを含めて今日でいくと10クラスですかね。10クラスに分かれたクラス構成となっております。

編集部 競技の特徴は何ですか?

上本氏    特徴はレースと違って、決められたコースを走るわけではなくて当日の朝にコースが設定されております。ご覧の通りパイロンで設定されたコースが多くなりまして、通常のコースにはないスラロームであったりだとかパイロンターンなどがあって普段日頃から練習をしっかりしとかないとなかなか当日の朝発表されたコースで攻略するのが難しいという普通のレースとは違う難しさのある、かつ楽しみのある競技となっております

編集部 出場する車の特徴は何ですか?

上本氏 足回りであったり、ブレーキであったりを主に改造することが許されてまして、そういったところのセットアップですかね。が難しいというかタイムにつながる部分であります。