世界には、さまざまなサッカーがある。そして、さまざまなペットがいる。人も文化も違うからだ。ペットたちの存在がサッカーにどれほど影響しているのかは分からないが、サッカー取材を通じて知った「世界のイヌネコ事情」を、蹴球放浪家・後藤健生が愛を込…

 世界には、さまざまなサッカーがある。そして、さまざまなペットがいる。人も文化も違うからだ。ペットたちの存在がサッカーにどれほど影響しているのかは分からないが、サッカー取材を通じて知った「世界のイヌネコ事情」を、蹴球放浪家・後藤健生が愛を込めてつづる。

■南アフリカでも「主流」は…

 そういえば、南アフリカ・ワールドカップのときに泊まった「Big Tree B&B」(俗称「大木旅館」)にも大きな犬がいて、試合を見て帰ってきたわれわれ日本人記者団を温かく歓迎してくれていました。僕は、旅館側との連絡に便利なように入り口や本館に近い部屋に泊まっていたので、犬はいつもそばをウロウロしていました(連載第46回「大木旅館の愛しのトリフィーナ」の巻)。

 あれも、人懐っこい、そして、かなり大きな犬でした。

 日本では、最近は家中で飼う小型犬の人気が高いようですが、アルゼンチンでも、南アフリカでも、やっぱり大型犬が主流のようでした。それはそうですね。アルゼンチンは人口(4000万人)よりも牛の数のほうが多いと言われる牧畜の国。牛肉のさまざまな部位を焼いたアサードというご馳走があります。

 南アフリカも、一歩もそれに引かぬ肉食の国。こちらでは、BBQのことを「ブラーイ」と呼んでいます。

 そうした牧畜の伝統がある国の人にとっては、大型動物を扱う(飼育して、繁殖させて、そして屠殺する)のはお手の物なのです。

■狩猟民族に「日本人は勝てない」

 よく、サッカー談義で「農耕民族の日本人は、狩猟民族のヨーロッパ人に勝てない」といったことを言う人がいます(最近は、さすがにこういうことを言う人は減りましたが)。

 しかし、現代のヨーロッパ人は狩猟をしているわけではありません。ヨーロッパで狩猟が最大の産業だったのは、ネアンデルタール人の頃とまでは言わないですが、何万年も前のことのはずです。ヨーロッパ人も農耕民族です。日本人との大きな違いは、あちらでは牧畜が盛んだったという点だけです。

 閑話休題。

 大きな犬……。これは、僕が初めてヨーロッパに行ったときから印象に残っています。初めてのヨーロッパは、1972年にクイズ・グランプリ(フジテレビ)で優勝して、商品のヨーロッパ旅行が当たったときのことでした。

 パリなどでメトロに乗ると、車内を大型犬が歩いているのでビックリしたものでした。そばに飼い主はいるのですが、リードでつながれているわけではなく、大きな犬が1人で(1頭で?)歩いているのです。

■バスターミナルの「野犬」には…

 1978年にアルゼンチン・ワールドカップ観戦に行ったときに発見したのは、あちらの犬は横になって(腹を出して)寝ているということでした。日本の犬はたいてい腹ばいになって、アゴを手(前足)の上に乗せるようにして寝ているのですが、あちらでは横になって寝ている犬がほとんどでした。

 その後もあちこちの国で観察していると、暑い国の犬は横向きで寝ることが多いようです。きっと、腹を出して寝たほうが涼しいからなのでしょう(アルゼンチンは、暑さ、寒さは日本と同程度でしたが……)。日本も異常気象で暑い夏が続くと、犬の寝相も変化していくのかもしれません。

 そうそう、同じヨーロッパ大陸でも、別の意味で大型犬にビックリさせられたのがギリシャでした。

 バスターミナルに行ったら、かなりの数の大型の野犬がターミナル内をうろつき回っていたのです。飼い犬とは面構えからして違います。機嫌を損ねたら今にも襲ってきそうな、獰猛な顔をしたので、さすがに僕も近寄らない(相手をしない)ようにしていました。

 次は、どこでどんな犬(猫)と対面できるのでしょうか……。

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