「オリエンタルバイオ presents 第7回全国ボルダリング小学生競技大会」が19、20日、東京都の葛飾区東金町運動場スポーツクライミングセンターで開催された。ハイレベルな熱戦が繰り広げられ、3・4年生の男女別、5・6年生の男女別で4人…
「オリエンタルバイオ presents 第7回全国ボルダリング小学生競技大会」が19、20日、東京都の葛飾区東金町運動場スポーツクライミングセンターで開催された。ハイレベルな熱戦が繰り広げられ、3・4年生の男女別、5・6年生の男女別で4人の優勝者が誕生した。4人はいずれも、将来の夢にオリンピック出場やオリンピックでの金メダル獲得を挙げた。
大会前日の18日にはパラクライミングの体験会が行われた。大会を主催するアクション・スポーツ推進委員会は、子どもたちの健康増進とスポーツクライミングをはじめとするアクションスポーツの普及に努める中で、パラスポーツの普及や理解促進にも取り組んでおり、このような機会を設けた。
パラクライミング体験の様子(写真:LIVE LINK)
目隠しをして、ガイドの声を頼りにホールドを探りながら登った子どもたちからは「難しい」「楽しい」「高いかどうかわからないので怖くない」といった声が挙がり、貴重な体験ができたようだった。また、大会期間中にはボッチャを体験できるコーナーも設置した。ボッチャ体験の様子(写真:LIVE LINK)
19日から予選がスタート。様々なルートセットの実績がある伊東秀和氏、永田乃由季氏、波田悠貴氏、石山晃氏、酒井悠氏が課題を手掛け、東京都山岳連盟がジャッジを務めた。参加人数は昨年の208人を超えて過去最多を更新する234人。全8課題のうち、3・4年女子以外の3カテゴリーで全完登が記録された。決勝オブザベーション
20日の決勝、ファイナリスト6人全員が4年生となった3・4年女子は、中国出身の蔡翌楚(さい・よくそう)が唯一の全完登で制した。ムーブを読み解くのに苦戦する選手が多かった最終課題を一撃で沈めるなど、3つのフラッシュで戴冠した。蔡は父親の仕事のため今年5月に日本へと移り住んだばかり。2021年にコロナ禍の行動制限がきっかけで訪れた自宅近くのジムでクライミングの楽しさを知り、そこから昨年は中国の全国レベルの大会で2位、そして今年は日本の全国レベルの大会で優勝を遂げた。3・4年女子優勝の蔡翌楚。終始安定した登りを披露した
3・4年男子は3人が3連続完登し、迎えた最終課題。ここまですべて一撃の安本梛生(なぎ)は、ポジショニングが難しい難関でムーブに迷う様子も2トライ目は落ちずに耐えて完登。アテンプト数の差でアドバンテージがあり、初めてだという優勝がその場で決まった。3・4年男子優勝の安本梛生。大会での1位は初めてだという
5年生と6年生が半数ずつとなった5・6年女子は、長島永和(はるか)が4年生以来2度目の優勝を飾った。強度の高い最終課題では安定した体幹を披露し、見事に全完一撃を果たした。2位・海野奈花(なな)とは完登に要したアテンプト数が「1」の差だった。海野は3年連続で2位に終わり、惜しくも優勝に届かなかった。5・6年女子優勝の長島永和。見事な全完一撃で自身最後の小学生大会を締めくくった
最後に行われた5・6年男子は6年生が5人を占め、大人顔負けのダイナミックなムーブが連発した。3課題目を終えて4人が3完登で並ぶ展開も会場を熱くさせた。最終課題はゴールタッチの惜しいトライが続くも、4人のうち3人は4完登目を決め切れず。声を上げながら最後の一手を決め、大きな拍手を送られた齋木郁希だけがこの課題の完登者になるかと思われたが、最後に登るここまで全完登の上田大志が6トライ目にゾーンをとらえると、そのまま残り約20秒を残す状態で登り切った。優勝には完登しかない状況で、実質最後のトライで攻略する劇的な幕切れだった。5・6年男子優勝の上田大志。劇的な幕切れだった
大会の模様は後日、LIVE-LinkのYouTubeチャンネル(LIVE Link Sports)で配信、またはCSスポーツチャンネル「スカイA」で放送される。3・4年女子表彰台
1位:蔡 翌楚/4年/4T4z 8 8
2位:石井 優菜/4年/3T4z 4 5
3位:福島 彩/4年/3T4z 9 8
蔡翌楚(優勝)コメント
「昨年の中国の大会では2位だったので、優勝できてうれしいです。(日本と中国のクライミングジムを比べると?)中国のジムは広くて壁も高いです。中国と比べると日本は特にリードのジムが狭いと感じます。また、日本の課題は中国の課題よりもやさしいです。今後の目標はオリンピックで金メダルを獲得することです」
3・4年男子表彰台
1位:安本 梛生/4年/4T4z 5 4
2位:額賀 瑛斗/4年/4T4z 9 6
3位:濱松 祥太郎/4年/4T4z 10 7
安本梛生(優勝)コメント
「去年は下の順位だったので、今年は優勝できてよかったです。大きいホールドを克服するためにいろんなジムに行って練習してきました。優勝は初めてなのでうれしいです。また来年、もう一回優勝したい。将来の目標はオリンピックに出ることです」
5・6年女子表彰台
1位:長島 永和/6年/4T4z 4 4
2位:海野 奈花/6年/4T4z 5 5
3位:橋本 暖/5年/3T4z 4 6
長島永和(優勝)コメント
「(自分にとって)最後の小学生大会で優勝できてうれしいです。(全完一撃だったが?)課題は難しかったです。オブザベの時点では一撃できるかどうか自信がありませんでした。将来の夢はオリンピックで金メダルを取ることです」
5・6年男子表彰台
1位:上田 大志/6年/4T4z 13 13
2位:遠藤 航至/6年/3T4z 6 8
3位:原 天馬/6年/3T4z 8 7
上田大志(優勝)コメント
「唯一、予選と決勝を全完登できたのでとてもうれしかったです。最後の課題は特に難しかったです。小学生大会は6年生の今年が最後で、2年前は3位で悔しい思いをしたから、今回こそは絶対に1位を取ってやるぞという気持ちで挑みました。将来の目標はオリンピックで優勝することです」
※順位表は左から順位、氏名、学年、決勝成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数
CREDITS
取材・文
編集部 /写真
窪田美和子※当サイト内の記事・テキスト・写真・画像等の無断転載・無断使用を禁じます。