2024年シーズンWRC第12戦セントラルヨーロッパは、10月20日(日)に最終日の4SSを走行。首位に立っていたトヨタのセバスチャン・オジエがSS17でリタイアを喫し、総合2番手につけていたヒョンデのオィット・タナックが勝利をつかんだ。2…

2024年シーズンWRC第12戦セントラルヨーロッパは、10月20日(日)に最終日の4SSを走行。首位に立っていたトヨタのセバスチャン・オジエがSS17でリタイアを喫し、総合2番手につけていたヒョンデのオィット・タナックが勝利をつかんだ。2位にはトヨタのエルフィン・エバンス、3位にはヒョンデのティエリー・ヌービル、4位にはトヨタの勝田貴元が入った。勝田は“スーパーサンデー”と“パワーステージ”の両方を制し、次戦のラリージャパンに向けて良い流れでラリーを終えている。

この日は前日と同様、拠点となるドイツ・パッサウから東北にあるふたつのSSを2度走行する4SS、54.08km。舞台となるのはSS15/17の「KNAUS TABBERT Am Hochwald(12.17km)」とSS16/18の「Passauer Land(14.87km)」。前日までの総合順位は、首位にオジエ、5.2秒差の2番手にタナック、14秒差の3番手にエバンス、39秒8差の4番手にヌービル、1分31秒8差の5番手に勝田という順位だ。



この日最初のSS15は快晴。路面はドライだが、道の両脇に生えた草は朝露に濡れており、ひとたび乗ってしまえば滑りやすく注意が必要だ。インカットで掻き出された泥も湿り気を含んでおり、油断はできない。ここではMスポーツ・フォードのアドリアン・フルモーがベストタイムをマーク。2.2秒差でエバンス、3.1秒差で勝田が続く。総合首位のオジエはこのSSでコースオフを喫し、道に戻るのに時間を要してしまいSS7番手タイム。これで、SS5番手タイムでフィニッシュしたタナックに首位の座を譲ることになってしまった。ふたりのタイム差は1.9秒と、予断を許さない状況だ。なお、このSSでは5kmほどの地点でトヨタのサミ・パヤリがコーナーで膨らみ横転、ラリー続行を諦めることとなった。

続くSS16は、パワーステージとしても使われるステージ。ここでは勝田が渾身のベストタイムをマーク、1.5秒差のSS2番手には逆転を期すオジエが続く。タナックもSS3番手タイムでまとめ、首位タナックとオジエの差は1.5秒となった。上位陣に順位変動はなく、ステージはSS15の再走となるSS17へ。このSSはエバンスがベストタイムを刻み、SS2番手にタナック、SS3番手に勝田というオーダー。タナックと首位争いをしていたオジエは、スタートからわずか600m足らずの地点でコースオフ、立ち木にヒットしリタイアとなってしまった。インカットで掻き出された泥に足下をすくわれた格好だ。これで総合3番手以下の順位が繰り上がり、上位陣はタナック、エバンス、ヌービル、勝田という並びとなった。タナックとエバンスの差は9.4秒と、わずかなミスで順位が入れ替わる可能性もある。



SS16の再走となるパワーステージ、SS18。ラリー1勢で最初にコースインしたフルモーは7分26秒6をマーク。上位陣にとってはこれがひとつのベンチマークとなる。続くアンドレアス・ミケルセンはこれを上まわり、7分24秒7で暫定ベストタイムを更新。勝田は7分22秒3で、暫定ベストを更新しながら4位以上を確定。少しでもプレッシャーをかけたいエバンスはSS2番手タイムでフィニッシュし、タナックの走行を待つことに。タナックはペースをコントロールしリスクを避けつつフィニッシュ。これでタナックは今季2勝目、キャリア通算21勝目を獲得した。エバンスとの合計タイム差は7秒だった。

最終SS終了時点での総合順位は変動なくタナック、エバンス、ヌービル、勝田、Mスポーツ・フォードのグレゴワール・ミュンステールというトップ5。パワーステージは勝田、ミケルセン、エバンス、ヌービル、フルモーがトップ5に入り、それぞれボーナスポイントを獲得した。



土曜日までのポイントと日曜日のポイント、そしてパワーステージでのボーナスを合計すると、ウイナーのタナックが22点(18点+4点+0点)、2位のエバンスが24点(15点+6点+3点)を獲得。スーパーサンデーとパワーステージを制覇した4位の勝田は22点(10点+7点+5点)を獲得し、TGR-WRTのマニュファクチャラーポイントに大きく貢献を果たした。ドライバーズランキング上位は、首位ヌービルが225ポイントで、2番手のタナックが200ポイント。今大会で2位に入ったエバンスが185点でランキング3番手に浮上した。これでチャンピオンの確定は最終戦のラリージャパンに持ち越される。マニュファクチャラーズポイントはヒョンデが526点、トヨタが511点、Mスポーツ・フォードが267点となっている。

次戦は11月21日〜24日に開催されるラリージャパン。愛知県豊田市の豊田スタジアムを拠点として開催されるターマックラリーで、本州開催のラリージャパンは今年で3年目。昨年はトヨタが表彰台を独占する活躍を見せている。今年は昨年よりも会期が1週間遅くなることから、気温および路面温度の低下、さらに天候によっては降雪も考えられ、タイヤ選択はより難しくなりそうだ。愛知県は勝田の地元でもあり、初勝利に向けて大きな期待がかかる。

WRCセントラルヨーロッパ 最終結果
1. O.タナック(ヒョンデi20Nラリー1) 2:37:34.6
2. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) +7.0
3. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) +39.8
4. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:21.0
5. G.ミュンステール(フォード・プーマ・ラリー1) +3:41.9
6. N.グリアジン(シトロエンC3ラリー2) +9:17.6
7. O.ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +9:34.1
8. F.マレシュ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +11:41.5
9. M.マルチェク(シュコダ・ファビアRSラリー2) +12:10.6
10. K.カエタノビッチ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +12:20.3