「JERA CSセ・ファイナルS・第4戦、巨人4-1DeNA」(19日、東京ドーム) 「2024 JERA クライマックスシリーズ セ」のファイナルS第4戦が行われ、リーグ覇者の巨人が3位から勝ち上がったDeNAに4-1で競り勝ち、優勝に…

 「JERA CSセ・ファイナルS・第4戦、巨人4-1DeNA」(19日、東京ドーム)

 「2024 JERA クライマックスシリーズ セ」のファイナルS第4戦が行われ、リーグ覇者の巨人が3位から勝ち上がったDeNAに4-1で競り勝ち、優勝による1勝のアドバンテージを含めて対戦成績を2勝3敗とした。負ければ敗退という崖っぷちの一戦で、阿部慎之助監督(45)の采配がズバズバと的中した。勝てば7年ぶりの日本シリーズ進出だったDeNAはファーストSから通じて今CS初黒星を喫した。

 ナインの「意地を見た」阿部監督は、少し声を震わせながら試合を振り返った。「ドキドキしたよ、俺が」。負けたら終戦の崖っぷちから劇的勝利に、超積極タクトに応えたナインの執念があった。エンドランにセーフティースクイズ、重盗と阿部野球を凝縮させた1勝。動いて流れを変えた。

 重い空気を一変させたのは坂本だ。同点の七回、1死から左前打で出塁。続く中山の一、二塁間を抜ける打球で三塁を狙う。梶原の好返球をくぐり抜けるように、頭から滑り込んでベースに達した。プロ18年目のベテランが見せた姿にベンチ、スタンド…球場のボルテージは最高潮。岸田が打席に入った。

 ここで阿部監督は一塁に代走・増田大を送ると、続く岸田の初球にセーフティースクイズを指示した。投手右に転がる打球に、三走の坂本が迷わずスタート。「もう勝つしかない。一番速いと思っていたので、思い切って飛び込んだ」と再び頭から滑り込み、間一髪のタイミングで生還した。

 CS開幕から悪夢の3連敗を喫した前夜、阿部監督は試合後「意地を見ましょう」と言葉を絞り出した。自身も知らず知らずのうちに受け身に回っていた中、川相内野守備走塁コーチから助言を受けた。「短期決戦だから、どんどん選手も代えていこう」。守りでは小刻みな継投で攻め、攻撃では代打、代走と次々にカードを切った。シーズン143試合を制した本来の姿だった。

 手負いの吉川、ヘルナンデスを登録。試合前に選手を集めて伝えた。「ここからやり返せたら、本当に強いチームだと思う。チャンスがあるならチャレンジしようぜ」。これでアドバンテージを含めて2勝3敗。阿部監督は言った。「もう崖っぷちなんで、1個も負けなきゃいいんだと思って」。積極タクトで切り開いた活路。下克上はさせない。