サッカー日本代表は、ワールドカップ最終予選でオーストラリア代表と対戦。ホーム埼玉スタジアムで、1-1で引き分けた。初戦から続いていた勝利が3試合でストップした格好だが、この結果は何を意味するのか。ベテランサッカージャーナリスト大住良之と後…

 サッカー日本代表は、ワールドカップ最終予選でオーストラリア代表と対戦。ホーム埼玉スタジアムで、1-1で引き分けた。初戦から続いていた勝利が3試合でストップした格好だが、この結果は何を意味するのか。ベテランサッカージャーナリスト大住良之と後藤健生が、そのオーストラリア戦の「内容」から、11月に待つアウェイ2戦の「展望」まで語り尽くした!

■「すごく疲れていたから」シャドーに

――試合後の会見で、森保一監督から交代策に関する話はありましたか。

大住「中村敬斗を入れたときに、中村をシャドー、三笘薫をウィングバックに配置したほうがよかったんじゃないか、という質問を後藤さんがしていたね」

後藤「そうしたら、三笘はすごく疲れていたからシャドーに置いた、といった話をしていた」

大住「ウィングバックは上下動をしないといけないから、疲れている三笘をウィングバックに置くよりもいいと思った、といった話だったよね。三笘が疲れ切っているとまでは言わなかったけど、三笘の替えどきを失ったな、という感じはしたよね」

後藤「結果論で話しているのではなくて、実際に見ていて、三笘が疲れているのは明らかだったからね」

大住「小川航基を出した3回目の交代のときに、迷ったとは思うんだよね。でも、森保監督はおそらく、自分が信じる一番良い攻撃ラインを出したつもりだったんだろうね」

後藤「ただ、それが最後の交代の機会だと分かっているわけだから、小川と一緒に前田大然を出したほうがよかったという気はしますけどね」

■シュート力が遅らせた「交代の決断」

大住「三笘を最後まで代えられなかったというのも、すべてはハーフタイムに交代策を打たなかったことに起因していると思うんだよね。久保建英に代えて伊東純也を出すべきだったと思うけど、そうしなかったのを見て、前半のままで何とかなると感じているのか、と思ったけど。ほぼボールを持ち続けて相手のペナルティーエリアを包囲して攻めていたから、なかなか代えにくいというのも分からないではないんだけどね。結果的にというかさ」

後藤「これは結果論じゃないよ。久保が前半にうまくいっていないのは明らかだったし、後半になって三笘は相当、疲労がたまって調子を落としているのも、見ていて明らかだった」

大住「三笘がぼんやりして、後ろから来た選手にボールを取られるなんて、ふだんなら信じられないことだからね」

後藤「そう。だから、これは結果論ではなくて、明らかにどうにかしないといけなかった。そこで代えたらうまくいったかどうか、それこそが結果論だよ。あそこで代えておいたほうがいいと話すのは、結果論じゃない。森保監督自身も、5人目を使えなかったと話していたからね」

大住「でも、本当に三笘が疲れ切ったように見えたのは、最後の交代の後なんだよね。中盤でボールを持っていて、後ろから追いつかれて取られたのは」

後藤「でも明らかに前半45分間とは、後半開始直後から違っていたじゃない」

大住「だけど、一発を決めるシュート力があるからね。そこが一番の考えどころだったんだろうね」

後藤「やはり、ハーフタイムに交代策を打っておけば、というのが一番のポイントだったと思うね」

■オウンゴールが生まれた「一因」は

大住「もうひとつ気になったのが、失点シーン。

 オウンゴールになった谷口彰悟のプレー自体はしょうがないと思うけど、あの直前に町田浩樹がGKの鈴井彩艶に戻したバックパスが、浮き球のボールになったんだよね。彩艶がなんとか止めたものの、処理に少し時間がかかって、相手が寄せてきたので彩艶は慌ててというほどじゃないけど、左足でボールを蹴った。

 彩艶は左足のキックを練習しないとダメだね。非常に不安定だし、距離も出ない。あの場面では、中途半端にハーフウェイラインを越えるくらいの距離になって、相手の8番に跳ね返された。こういう跳ね返され方をしたときが一番危ないんだよね、と思っていたら、パパパっと相手に右ウィングバックまでつながれて、ゴール前に入れられたボールがオウンゴールにつながった。

 バックパスから始まったのか、彩艶にキックから始まったのか分からないけど、とにかく、ああいうところで、もっと安定したプレーをしなければいけなかった。雑なクリアというか、中途半端なキックが、オウンゴールが生まれた一因だと思う」

後藤「あの失点の前後数分間は、なんだかディフェンスがおかしかったよね。サイドに出されたときに3バックの左右が引っ張りだされて谷口彰悟が孤立することが多かった」

大住「危ないな、という感じがあったよね」

後藤「他の時間帯はまったく危なげないなと思っていたけど、あそこだけなんだよね。相手が何かをやってきたのか、その原因はよく分からないんだけど、何かおかしかった」

大住「相手が後半よくなったのは確かだね。守っているだけじゃダメで、攻めていかなきゃと、かなり積極的になって、球際も強くなって五分五分のボールをものにしたり、日本に取られたボールをすぐ取り返すシーンが出てきた」

後藤「1点リードしたら、また引きこもっちゃったけどね」

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