プロ野球阪神の藤川球児新監督(44)が15日、大阪市内で就任会見を行った。濃紺のスーツに、タイガースカラーの黄色のネクタイを締めて登場し、「勝ちにいきます。当然、勝ちにいきます」と力強く宣言した。3年契約で、背番号は現役時代につけていた「…

 プロ野球阪神の藤川球児新監督(44)が15日、大阪市内で就任会見を行った。濃紺のスーツに、タイガースカラーの黄色のネクタイを締めて登場し、「勝ちにいきます。当然、勝ちにいきます」と力強く宣言した。3年契約で、背番号は現役時代につけていた「22」に決まった。

 会見場には120人超の報道関係者が集まった。やや緊張した面持ちの藤川新監督は、恩師・岡田彰布前監督の後を受け継ぐことに、「自然な流れ。運命なのかな」と感慨深げだった。この日の朝に岡田前監督に連絡し、「頑張れよ。またすぐ行くから」と返ってきたという。

 来季は球団創設90周年の節目となる。2年ぶりのリーグ優勝に向けて、「去年が日本一、今年は2位。現状維持でいいと思っている選手は危機感を感じてほしい。相手を倒すには絶対的な力が必要」などと語った。

 藤川氏は高知商高から1998年秋のドラフト1位で阪神に入団。2013年から大リーグでプレーするなどし、16年に阪神に復帰。20年限りで引退し、21年から球団本部付スペシャルアシスタント(SA)を務めていた。

 同席した杉山健博オーナーは「(監督起用の)最大の理由は、藤川さんであれば必ずやリーグ優勝に導いてくれるであろうと考えたからです」と話した。(山口裕起)

■■藤川新監督「すべて必然」

 プロ野球阪神の新監督に就任した藤川球児氏(44)と報道陣との主なやりとりは以下の通り。

 ――就任が決まり、今の気持ちは。

 「このチームにはビジョンがある。その中で、岡田監督が指揮を執られたこの2年間、非常に強く、チームも成熟してきたのは自分も見てきた。それから僕もチームの中から外から両方で見てきたところもあったので、この流れになったのかなと。自分自身は全く分からなかったですけれど、愚直に真っすぐに仕事していく中で、そういうものが見えてきたというところで、お受けしました」

 ――決断理由は。

 「特にないです。自然なのかなと。タイガースに18歳で入って、アメリカも行ったり、それから自分で選択して独立リーグに入ったりとかしている中で、自分の下す決断に少しずつ自信が持てるようになって、どんな道を選んでも自分なら正解にできるんじゃないか、というのがここまでの自分の自信にもつながっています。なので、うまくいかないことがあると周りが言うかもしれないですけど、僕はどちらにしても大丈夫だと思っているので、それは自分の決断に間違いはないと思います」

 ――恩師である岡田監督の後を引き継ぐ。

 「おそらくそれも、全て必然であって。阪神タイガースが来年90周年を迎える流れで、僕が1年目の時に岡田監督が2軍監督1年目ということで、全ての流れがたまたまかもしれないですけど、その中でどう受け取ろうかなとするよりも、これが自然なのか、不自然なのかと考えた上で、何も不自然なことはない、従えばいいという感じですね」

 ――岡田監督から学んだこと、そして監督として大切にしていきたいことは。

 「選手の間や、チームをサポートする側でいる時、外で解説している時には気づかなかったんですけど、いざ、この前に立って、この会見とともに監督がスタートするんですけど、やっぱり普通にやったらいい、これに尽きるのかなと。これがリーダーの仕事かなと思いますね」

 ――解説などで野球に携わってきて、何となく監督することは自身の中で考えていたのか。

 「ないんです。結局、僕、岡田監督に1年でも長く、現役でやってほしいと、なった時から思っていたんで」

 ――コーチ経験がないことの声に関しては。

 「全く僕に関係ないことですよね。僕がやることなんで。頼まれた方だったら分かるんですけど、当事者意識なんで。結局、自分が何をするかしか考えていないんで。どういう考えがあるのか関係なくて。それが人それぞれの人生なんですね」

 ――金本監督、矢野監督も選手の時は人気だったが、監督になるとボロクソに言われた。

 「いいんじゃないですか。僕は全然平気です。それを経験してきているし、それがなくなった経験もあるので。結局、一過性のものなんですよ。それって全然大した話じゃないんですよね」

 ――背番号22番は岡田監督が託してくれた番号。

 「正直、岡田監督からもらっていなかった番号であれば、全くこだわりはなかった。僕は背中が見えないので、いつも何番でもいいと言うんですけど、みなさんから見た時に、今後は選手から見た時の印象がありますから、そういう距離感という意味では近く見えるかもしれないので、いいかもしれないですね」

 ――理想のチーム、野球とは。

 「あまり本当は言いたくないですけど、戦う前に。チャンピオンチームだった昨年であれば思うんでしょうけど。僕は、どちらかというと、新たに就任する監督であって、コーチともまだビジョンを組んでいないわけですね。その段階でメッセージとして固まってしまうことは正直控えたいかなと。岡田監督と戦ってきたコーチたち、選手たちが持っている野球観っていうのがすごく大事なので。僕としては前回岡田監督が監督だった08年の時の、(退任後の)09年以降の野球を自分の中で覚えてまして、野球のベースが移り変わった記憶がある。そこで選手たちが岡田監督という素晴らしい強烈なリーダーシップを持った野球から、僕自身もそうですけど、簡単にパッと変化できなかったというのがあって、なのでいかに流れの中で、いわゆるチャンピオンチームの巨人の阿部監督を倒していったりとか、他球団と勝負していかなければいけないという意味では、時間があるようでないので、そこは意思疎通を図ってから、決断を下したいと思います」

 ――外から見守ってきた、現状のチームは。

 「前年度日本一、そして今年も2位まで強烈な追い上げ、岡田監督とたくさんプレーしてきたので、まあ監督力です、ハッキリ言えば。選手たちは素晴らしく脂が乗ってきているとは思います。現状維持で今いるような周りから見えるような選手は危機感持って臨んでもらいたいなと思います」

 ――チームの強みは。

 「3点ほど取ったらゲームをきっちり終わらせてくれる。安定の野球です。僕もそこは一番ベースになります。面白みがある野球ではなくて、スルッと気づけばゲームが終わっているというのも狙いです。そういうゲームって後ろからいくリリーバーが出やすいんですよ。ゲームの流れのよどみをつくらないようなゲーム展開にしたいというのはありますから」

 ――最も強化すべきポイントは。

 「非常に難しいんですけど、ベテランと言われる選手。僕もベテランの時期を過ごしました。その中で僕たちが現役を引退して、いよいよ、優勝はしました。勝てば勝つほどプレッシャーが高くなり、求められる責任感というのが大きくなります。ただ必要なのは力です。力が必要なのは間違いないです。プレーヤー個人の力がなくて、ベテランっていうのは僕は必要ないです」

 ――あらためて、目指すものは。

 「目指すものは勝ちにいきます。当然、勝ちにいきます。なのでプライベートで僕のことを知っている選手たちはいますけど。やっぱり僕もオンとオフがあるっていうのはもうみんなわかっているので。そこは今度一緒にやっていく首脳陣の方々、球団の方々も理解していて。僕は使い分けはしません。監督として皆さんと向き合います。選手たちが迷うんで」

 ――ファンにメッセージを。

 「まっすぐ愚直に、真心を込めて。岡田監督が残したこの思い、OBの方々が、89年間残してきた思いをつないで、僕はまた次の世代につながないといけない。任された期間を全うするんで、みなさんも、おじいちゃん、おばあちゃん、それからお子さんを連れて球場に来て、テレビの前でもラジオを聞いても、新聞を読んでも、面白いなって言われるチームづくりをします。ぜひ応援よろしくお願いします」