楽天の田中将大投手(35)が苦闘のシーズンを終えた。 今季1試合のみ登板に終わり、0勝1敗で勝ち星なしの1年となった。昨年10月に右肘をクリーニング手術。今春のオープン戦では3試合に登板したものの、その後は状態が上がらず、開幕から2軍で調…

 楽天の田中将大投手(35)が苦闘のシーズンを終えた。

 今季1試合のみ登板に終わり、0勝1敗で勝ち星なしの1年となった。昨年10月に右肘をクリーニング手術。今春のオープン戦では3試合に登板したものの、その後は状態が上がらず、開幕から2軍で調整。ファームでの実戦登板も8月までずれ込んだ。今季1軍初登板なった9月28日のオリックス戦(楽天モバイル)では三回まで無失点に抑えていたが、四回につかまり、5回6安打4失点で降板した。

 田中の“育ての親”でもあるデイリースポーツ評論家の佐藤義則氏も田中の現状には心配な様子。「全部試合を見たわけではないから」と断った上で、映像で見たファームでの投球や1軍初登板について「力強さが足りないように見えた」と語る。「右肘の不安がなくなったから試合でも投げているとは思うんだけど、ピッチングを見ていると、なんとなく怖々(こわごわ)投げているというか、手先で投げている感じがする」と投球フォームの印象を口にする。

 変化球の割合が多かったことも気がかりな点だ。「元々、変化球が多い投手ではあるけど、変化球に頼りすぎてはいけない。やはり基本は真っすぐをどれだけ投げられるか。真っすぐがあっての変化球ということを改めて思い返してほしい。スピードは関係ない。相手に真っすぐが来ると思わせることで、変化球も生きてくる」と語る。

 真っすぐをしっかり投げ込むためにも、佐藤氏が指摘する投球の力強さを取り戻したい。「手先でかわそうとするのではなく、上体をしっかりと使って腕を強く振ることが大事。腕がしっかり振れれば、もっと球の強さが出てくるし、スピードも出てくる」。今季2軍で5試合登板、1軍では1試合の登板に終わった。「今年は登板数が少なかった。試合で投げることを重ねていけば、もっと強い球が投げられるようになるんじゃないか」

 ヤンキースから楽天に復帰し、今年で4年が経過した。復帰1年目の21年は4勝9敗、22年は9勝12敗、23年は7勝11敗。そして今季は0勝1敗に終わり、4年間通算で20勝33敗。あと3勝に迫っている日米通算200勝にも足踏みしている。

 今年11月に36歳を迎える田中。全盛期には及ばないとしても、佐藤氏は「まだまだ老け込む年齢ではない。必ず復活できる」と断言する。95年に当時の史上最年長記録となる40歳11カ月でノーヒットノーランを達成した佐藤氏だけに、その言葉には説得力がある。

 田中とともに佐藤氏の教え子の一人であるパドレスのダルビッシュが今年5月、史上3人目となる日米通算200勝を達成した。佐藤氏は「田中もダルビッシュも私の大切な教え子。ぜひ田中も来年は達成してほしい」。苦しむ右腕に復活を願うエールを送った。