WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス PGAツアーチャンピオンズ(米シニアツアー)の日本初開催となるJAL選手権が9月8日(~10日)、千葉県の成田GCで開幕した。 過去には、レギュラーツアーのWGC EMCワールド…

WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 PGAツアーチャンピオンズ(米シニアツアー)の日本初開催となるJAL選手権が9月8日(~10日)、千葉県の成田GCで開幕した。

 過去には、レギュラーツアーのWGC EMCワールドカップ(国別対抗戦。2001年/静岡・太平洋クラブ御殿場)が行なわれたことがあるが、レギュラー、シニアを問わず、PGAツアーの公式戦が日本で開催されるのは初めてのことだ。



PGAチャンピオンズツアーが日本で開催され、トム・ワトソンらが来日

 参戦するメンバーは、往年のメジャーチャンピオンがズラリ。トム・ワトソン(68歳/アメリカ。以下同)をはじめ、トム・リーマン(58歳)、ラリー・マイズ(58歳)、リー・ジャンセン(53歳)、そして昨年シニアツアー入りしたばかりの”永遠のロングヒッター”ジョン・デーリー(51歳)に、今季シニアデビューしたデビッド・トムズ(50歳)などと、なんとも豪華な顔ぶれがそろった。

 対して日本からは、2013年に全米シニアプロ選手権を制してメジャーチャンピオンに輝いた井戸木鴻樹(55歳)や、2006年からPGAツアーチャンピオンズにも参戦した尾崎直道(61歳)に加え、中嶋常幸(62歳)、室田淳(62歳)らが出場する。

 前週、カナダのアルバータ州カルガリーでの大会を終えたチャンピオンズの面々は、JALのチャーター機で来日。機内で早くも”おもてなしニッポン”を味わって、ご満悦だという。来日後も、美しい”TOKYO”の街並みに触れたり、大会のパーティーで披露された太鼓の演奏に魅了されたりして、大いにエンジョイしているようだ。

 ちなみに、デーリーはシーフード嫌いでお寿司が苦手。日本にいてもメキシカンフードを食しているが、ワトソンらとともに首相官邸を訪れた際には、安倍晋三首相に自身も愛用しているジャケットをプレゼントし、親日家をアピールする(?)一幕もあった。

 シニアといえども、世界のトッププロたちを間近で見られるのはPGAツアーならでは。こうなると、PGAツアーの「レギュラーツアーの日本開催を実現してほしい」と願う日本のゴルフファンも多いのではないだろうか。

 はたして、レギュラーツアーの日本開催は実現するのか?

 私の予想は、イエス。近い将来、実現する方向でPGAツアーは動いていると思われる。そういう意味では、今回のチャンピオンズの開催はレギュラーツアー開催への大きな試金石となる。

 また、「イエス」と思うのは、韓国での好例があるからだ。実際に来季のPGAツアー(2017-2018シーズン)開幕3戦目、CJカップ(10月19日~22日)が済州島のナインブリッジで開催される。韓国でのレギュラーツアー公式戦の開催は、これが初となる。

 これは、韓国ゴルフ界にとっての悲願だった。現にここに至るまで、長い道のりを歩んできた。

 韓国でPGAツアーが初めて開催されたのは、今回の日本と同じくシニアツアーだった。2010年、2011年と2度にわたって、チャンピオンズツアーのSongdo選手権をジャック・ニクラウスGCで開催した。

 さらに2015年には、同じ会場で米国選抜と世界選抜が戦うプレジデンツカップも開催。そのときの観客数は18万人を超え、プレジデンツカップ史上最高の集客数を記録した。

 こうした実績を経てついに来季、PGAツアーのレギュラーツアー公式戦が開催されることになったのだ。PGAツアーの新コミッショナー、ジェイ・モナハン氏が語る。

「2016-2017年シーズンには、PGAツアーとウェブ・ドット・コムツアーを合わせると、韓国から参戦している選手が20人以上に達した。これは、オーストラリアの15人を上回る人数。ゴルフの発展を考えると、(韓国をはじめ)アジアでのツアー拡大は不可欠だ」

 アジアで開催されているPGAツアーは他に、2009年に欧州ツアーから世界選手権シリーズ(WGC)の一大会となった中国開催のWGC HSBCチャンピオンズと、マレーシアで行なわれているアジアツアーとの共催の、CIMBクラシックがある。CIMBクラシックは2010年にスタートし、2013年からPGAツアーの公式戦となった。現在はフェデックスカップのポイントレースに組み込まれ、勝者はマスターズへの招待も受けるようになっている。

 日本はもともと「ゴルフ大国」と考えられていて、実際に他のアジアの国々に比べて、ゴルフ人気は以前からかなり高かった。ただ、国内に成熟したツアーがあるため、ファンの目が海外に向くことが少なかった。選手も同様で、韓国勢に比べて、海外ツアーを目指す選手が少なかったという現実がある。

 とはいえ、今は違う。石川遼が登場し、松山英樹の活躍もあって、日本のゴルフファンの関心は海外に向いている。PGAツアー関係者が言う。

「現在は、松山英樹が世界ランキング2位となり、毎週のように優勝争いに加わって、PGAツアーへの注目が日本国内でも高まっている。日本はもちろん、アジア戦略の大きな軸だ」

 2020年には東京五輪が開催されることとなり、世界中から大きな注目を集める”ジャパン”。PGAツアーが、そこでのツアー開催を目論むのは当然のことというか、自然な流れだろう。

 まずは、今週のJAL選手権。ベテランプレーヤーたち”妙技”によって、大会が大いに盛り上がることを期待したい。