11日から、千葉県の東急セブンハンドレッドクラブで富士通レディース2024が開催される。注目は2年前の同大会で優勝し、それが最後の日本ツアー優勝となっている古江彩佳。2019年にアマチュア優勝を達成したのがこの大会で、21年、22年と連覇。…

11日から、千葉県の東急セブンハンドレッドクラブで富士通レディース2024が開催される。

注目は2年前の同大会で優勝し、それが最後の日本ツアー優勝となっている古江彩佳。

2019年にアマチュア優勝を達成したのがこの大会で、21年、22年と連覇。5回出場して優勝3回。優勝しなかった2大会が、2位タイ(20年)と45位タイ(23年)で、抜群の相性の良さを見せている。

今季、古江は日本ツアー5試合に出場。5月のワールドレディスチャンピオンシップは予選落ちだった。

だが、9月の日本女子プロ、住友生命Vitalityレディス、日本女子オープン、10月のスタンレーレディスの4試合は、それぞれ、15位タイ、17位タイ、4位タイ、7位タイ。4試合すべてトップ20入り、かつ、最近2試合連続トップ10入り、という上り調子で、富士通レディースを迎えることとなった。

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■アマチュア時代含め優勝3回

古江はこれまで日本ツアーで8勝(プロ7勝、アマ1勝)をあげているが、その内3勝が、富士通レディース。富士通は所属先ということもあり、古江にとって思い入れが強い大会となっている。

古江の持ち味は、正確なショットとパット。飛距離以外にこれといったウィークポイントがない。

今季は規定のラウンド数不足のため、ランキング対象外だが、パーオン率が74.3056%で3位相当、パーセーブ率が89.5833%で3位相当、平均バーディー数が3.3750で16位相当となっている。平均ストロークは70.5000で8位相当だ。

日本ツアーを主戦場にしていた頃はパット数も上位に入っていたが、今季のパーオンホールの平均パット数が1.7887で21位相当、1ラウンドあたりの平均パット数が29.5000で41位相当となっている。

日本のグリーンにアジャストできていない結果となっているが、逆に言えば、このパットの調子で、このパーセーブ率と平均バーディー数、平均ストロークを出せているところが、古江のショットの精度の高さを示している。

富士通レディースの平均ストロークは68.0769。パーオン率もパット数も上位傾向の好相性の大会で、ショットとパットを高い次元で両立させる感覚を取り戻し切りたい。

古江彩佳 富士通レディースでのパーオン率とパット数

■飛距離増長

古江は、唯一といってもいいウィークポイントとなっている飛距離が増長傾向だ。

今季のドライビングディスタンスは、247.29ヤードで23位相当。

主戦場が日本ツアーだった2020-21年シーズンは233.51ヤードで56位、米ツアーに主戦場を移した22年シーズンは241.69ヤードで26位相当、23年シーズンは240.96ヤードで38位相当だった。

米ツアーでのドライビングディスタンスを見てみると、2022年シーズンは248.65ヤードで129位、23年シーズンは245.44ヤードで142位、252.09ヤードで138位となっており、順位の上昇は見られないが、飛距離の伸びが見られる。

‟曲がらない”に‟飛ぶ”が加わり、ドライバーショットが飛んで曲がらなくなれば、安定感に磨きがかかるだけでなく、これまで以上の爆発力が見られるようになるかもしれない。

古江彩佳ドライビングディスタンス

■米ツアー賞金女王へ向けて

古江は米ツアー年間ポイントランキングで3位につけている。順位だけ見ると年間女王が狙える感じがするが、1位は今季5連勝を含む6勝をあげているネリー・コルダで、獲得ポイントに大きな差があり、残りの試合数を考えると、逆転は厳しいと言わざるを得ない状況だ。

ただ、賞金女王は可能性がある。

賞金ランキングトップのコルダとの差は約110万ドル。ツアー最終戦のCMEグループ ツアー選手権の優勝賞金は200万ドルということもあり、現状は逆転可能な位置にいる。

今季はエビアン選手権で初のメジャー制覇を遂げた。これがあるだけで、十分に「良い1年だった」と言えるシーズンになるだろうが、チャンスがあるのであれば賞金女王も狙ってもらいたい。

そのためにも、今週、日本の得意コースで勢いをつける。

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著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。