(6日、第106回全国高校野球選手権京都大会の開会式) 京都市右京区のわかさスタジアム京都で午前10時から開会式が始まった。開会宣言の後、昨年優勝の立命館宇治を先頭に、77校73チームの選手たちが、京都府警音楽隊の演奏にあわせて、元気よく…

 (6日、第106回全国高校野球選手権京都大会の開会式)

 京都市右京区のわかさスタジアム京都で午前10時から開会式が始まった。開会宣言の後、昨年優勝の立命館宇治を先頭に、77校73チームの選手たちが、京都府警音楽隊の演奏にあわせて、元気よく行進した。龍谷大平安の生徒たちがプラカードを掲げて選手たちを先導した。

 朝日新聞社ヘリコプター「あかつき」から、始球式に使うボールが投下された。外野に整列した選手たちが内野に向かって一斉に進むと、観衆から手拍子と拍手がおくられた。その後、立命館宇治の中川翔主将(3年)が優勝旗を返還した。

 大会会長の福家崇明・府高野連会長が「苦楽を共にしたチームメートを信じて、最後の最後まで全力プレー、全力の応援を期待しています」とエールを送った。

 大会副会長の小林杉男・朝日新聞京都総局長は「いよいよ集大成の大会。好ゲームを期待しています。がんばってください」と激励した。(八百板一平)

■選手宣誓「野球ができるのは当たり前じゃない」

 北嵯峨の田崎信己(のぶき)主将が選手宣誓を務めた。「大好きな野球を全力で楽しもう」と語り、さらに力強く、こう宣誓した。

 「野球ができるのは当たり前じゃない」

 宣誓文は自らの経験をもとに1人で考えた。北嵯峨への進学と同時に、生まれ育った宮津市を離れ、兄の誠志郎さん(27)と京都市で2人暮らし。

 信己さんが洗濯、誠志郎さんが料理担当だ。なるべく野菜を入れるなどバランスのよい献立を考えてくれる。中でも鶏肉のトマト煮がお気に入り。週末は練習試合に足を運んでくれる。

 そんな兄や離れた地から励ましてくれる両親への感謝の気持ちと、最後の夏に懸ける思いを宣誓に込めたという。

 宣誓後、「名前を呼ばれる瞬間は緊張したけど、100点の宣誓ができた」とほっとした表情を見せた。

 スタンドで見守った誠志郎さんは「僕にとって信己は誇り。生きがいをもたらせてくれる存在」と話した。(木子慎太郎)

■明るく、のびやかなアナウンス

 開会式の司会を務めたのは、南陽の山本有紗さん(3年)と、福知山の大西花怜(かれん)さん(2年)。普段はそれぞれの高校の放送局や放送部で活動している。この日は、山本さんが選手の入場行進を、大西さんが式典の進行を担当した。

 前日のリハーサルを含め、準備を重ねて臨んだ2人は明るく、のびやかな声でアナウンスした。

 山本さんは、観客席からの拍手に負けないよう、ゆっくり、はっきり、丁寧な発声を心がけたという。「いい緊張感で、いつも通りにできた。携われてよかった」

 「めちゃめちゃ緊張した」という大西さんは「選手と同じ気持ち、気合を込めました。やり切りました」と笑顔を見せた。(八百板一平)

■始球式「精いっぱいの力が出せた」

 開幕試合の始球式は、京都教育大付属桃山小の奥田ありささん(6年)が務めた。文化やスポーツの体験を通して京都の魅力を発信する「ジュニア京都文化観光大使」を務めている。

 球技は苦手。でも、始球式の話を聞いたとき、迷わず「やりたい」と思った。2週間前から家族と練習を重ね、投球フォームや重心移動を覚えた。この日のために大谷翔平選手から贈られたグローブを学校から借りた。

 観光大使の仲間や家族が見守る中、マウンドへ上がった。山なりの投球はワンバウンドで捕手のミットへ。投げ終わった後、「今できる精いっぱいの力が出せた」と笑顔で話した。(関ゆみん)