「広島3-1ヤクルト」(5日、マツダスタジアム) 試合後、マイクの前に立った広島・新井貴浩監督はスタンドを埋めたファンに述べた。「9月、このような形となったのは、監督である私の力不足と痛感しています。ですが選手は最後の最後まで頑張ってくれ…

 「広島3-1ヤクルト」(5日、マツダスタジアム)

 試合後、マイクの前に立った広島・新井貴浩監督はスタンドを埋めたファンに述べた。「9月、このような形となったのは、監督である私の力不足と痛感しています。ですが選手は最後の最後まで頑張ってくれました。決して何も残らなかった、残す事ができなかったシーズンとは、私は思っていません」。悔しい思いを募らせた一方で、収穫もあった。

 今季ラストゲームは引退する野村が先発。バトンを受けた滝田は粘投し、高はテンポ良くアウトを積み上げた。打線も2年目・内田とドラフト4位・仲田がそろってプロ初安打。若鯉たちがグラウンドを駆け回り、球場は熱気に包まれた。

 今季は9月上旬まで優勝を射程圏に捉えながらも、先月は悪夢のような大失速。悪循環に歯止めがきかず、セリーグ・ワーストタイの月間20敗を喫して優勝争いはおろか、Bクラスも確定してしまった。ただ、今季143試合目でナインが見せた意地は必ず、来季の戦いへとつながっていく。

 覇権奪回の権利を手放した今季を教訓に、来季は就任3年目に挑む。「来シーズンは、さまざまなことが変化する年になると思います。変わるということは、それとともに痛みも生じてくると思います。覚悟と信念を持って強いチーム、強い選手を育てていきたい」と力強く誓った指揮官。来年の秋こそは、広島の街を熱くさせてみせる。