学生時代に大相撲の幕下付け出しでデビューできる実績を残しながら、中高生育成の道を選んだ若手指導者がいる。県スポーツ協会テクニカルアドバイザーの平野颯人(はやと)さん(22)=秋田市出身。自身も、まだ第一線。7日には国民スポーツ大会(佐賀県…
学生時代に大相撲の幕下付け出しでデビューできる実績を残しながら、中高生育成の道を選んだ若手指導者がいる。県スポーツ協会テクニカルアドバイザーの平野颯人(はやと)さん(22)=秋田市出身。自身も、まだ第一線。7日には国民スポーツ大会(佐賀県)に臨む。
「今までやってこられたのは地元でよくしてもらったおかげ」と平野さん。「大相撲で活躍して秋田を盛り上げるより、秋田に帰って自分ができることを続けた方が地元のプラスになると考えた」
アマチュア主要大会で8強入りすれば、大相撲では幕内、十両に次ぐ幕下の番付からのスタートが認められる。大曲農高から中央大に進んだ平野さんは昨年、全国学生選手権で準々決勝に進出し、その「資格」はあった。いくつかの部屋から誘われもした。それでも故郷への思いが勝った。
4月に選手兼コーチでテクニカルアドバイザーに採用された。土俵に入って、金足農高や大曲農高、美郷中の生徒らに胸を貸している。感じるのは、選手は十人十色だということ。「弱点の改善も大事ですが、何かつき通せるものがあれば、その選手の味が出る。強い相手と勝負して勝ちをもぎ取ろうとするなら、個性を伸ばす方がいい」
自身がそうだった。高校まではオールラウンドな選手になろうとした。それも大学では通用しなかった。そこで突き押しに徹した。「自分は腕力(かいなぢから)が強いものですから」。押す角度、相手のどこを押すのか、などを追究して今があるという。
選手としても最近は、東北選手権と東北体重別選手権(120キロ以上)で優勝した。金足農の加賀谷琉(るい)選手(3年)も「うまい人と実際に相撲を取って学べるのは、ありがたいことです」。2年連続で県高校総体3冠獲得の有望株。平野さんとともに今回の国スポでの活躍が期待される。
平野さんは来春、県内の企業に就職する予定だ。そこで実業団のチームをつくることができたら、と思い描いている。長く相撲を続けられる環境を増やせば、中高生の夢もふくらんでいく。(隈部康弘)