「広島4-6ヤクルト」(26日、マツダスタジアム) プロ初の3番に座った広島・矢野雅哉内野手が、大敗ムードを一振りで変えた。仲間を鼓舞するように力強く両拳を握りしめる。華麗な守備で何度もチームを救ってきた男が、バットで一皮むけようとしてい…

 「広島4-6ヤクルト」(26日、マツダスタジアム)

 プロ初の3番に座った広島・矢野雅哉内野手が、大敗ムードを一振りで変えた。仲間を鼓舞するように力強く両拳を握りしめる。華麗な守備で何度もチームを救ってきた男が、バットで一皮むけようとしている。

 「打順は関係なく自分のやるべきことを、しっかりやろうと思っていました。最低限はできたかなと思います」

 6点を追う五回だ。1死から秋山の四球と坂倉の二塁打で二、三塁となり打席を迎えた。吉村に対し、「前の2人がいい場面でつないでくれたので、僕も割り切って」と初球の内角スライダーを詰まりながらも、右翼線へ。初の3番起用に応える2点適時打で、追い上げムードの起点をつくった。

 七回にも遊撃への内野安打を放ち、2戦連続のマルチ安打をマーク。自身最長を更新中の連続試合安打を「10」に伸ばすなど、「チームが勝つことだけを考えて毎試合やってます」と連敗が続く中で意地を見せ続けている。

 この日、約5カ月ぶりにスタメン入りした田村の活躍を受け、「チームの雰囲気もすごく良かった」と、これまでの連敗中との違いを感じ取った。「僕たち若い選手が、怖がらずにどんどんアピールするつもりでやれば、チームの雰囲気ももっと上を向いてよくなっていくと思う」。若鯉たちの躍動と、6点ビハインドからの意地の追い上げ。この1敗を無駄にはしたくない。矢野がトンネル脱出のカギを握っている。