阪神・岡田彰布監督(66)が25日、甲子園球場で全体練習を見守り、1点に対するこだわりを強調した。23日・巨人戦(甲子園)で、六回無死二塁から佐藤輝が浅い中飛に倒れた場面を例に挙げ、状況に応じた打撃を求めた。次回、佐藤輝が同じ状況で打席に…

 阪神・岡田彰布監督(66)が25日、甲子園球場で全体練習を見守り、1点に対するこだわりを強調した。23日・巨人戦(甲子園)で、六回無死二塁から佐藤輝が浅い中飛に倒れた場面を例に挙げ、状況に応じた打撃を求めた。次回、佐藤輝が同じ状況で打席に立つと「代打バント」の勝負手を繰り出すことも明言。この日、首位・巨人が敗れたため、ゲーム差は1・5差に縮まった。残り5試合、ミラクルVへの執念を燃やして戦い抜く。

 秋晴れの甲子園。岡田監督はサングラス越しにナインの動きを追った。残り5試合。「いつも通りよ、一緒よ。1試合1試合や」。平常心を貫きつつも、勝負師の炎はメラメラ燃えている。球団史上初となる連覇へ、熱い思いを吐露した。

 「(球団創設)90年近くやったことあるか?そんなことに挑戦してるんやで。まだチャンスがあるわけやからさ。ここまで悪いなりに何とかしのいできた結果やんか」

 厳しい状況に立たされても、指揮官はミラクルVは諦めていない。チームを引き締めるように振り返ったのは23日・巨人戦だ。「完璧に失敗したよ。進塁打のサイン出したらよかったと思ったよ」。0-0の六回、無死二塁から佐藤輝は浅い中飛に倒れてしまい、チャンスを広げることができなかった。

 「ここまできたら分かると思ったけどなあ。分からんかったなあ。あれで終わりよ。打ち方じゃないやん、状況判断やんか」

 同じアウトでも、フライではなくゴロで走者を進めてほしかった場面。今後、佐藤輝に同じケースが訪れると「バント出すよ。バント要員行かす」。“代打バント”の勝負手を繰り出すとまで言い切り、1点に対するこだわりを強調した。

 V争いの佳境を迎え、1打席の重みはグッと増している。1球で試合の流れはガラリと変わってしまう。23日も六回の好機を逃すと、直後の七回無死一、三塁から坂本に決勝打を許していた。

 「坂本のライト前見てみいよ。見送ったらボールやで。バットに当てたら何とかなるとかな。最悪セカンドゴロでも打ったらサードに進むとかな。相手も優勝がかかってる。簡単にヒットを打てるボールなんか来るかっていうの。ましてやホームランを打てるボールなんかくるわけないやん」

 阪神は26日も試合がない中、巨人は25日から敵地・横浜でDeNAと2連戦。「2日間、野球見よ(笑)。だって、それしかあれへんもん。見るしかあれへんもん。(DeNAの)応援はせなあかんな」。最後は穏やかな表情でベンチを引き揚げた。まだ偉業への挑戦は終わっていない。

 ◆佐藤輝の23日・巨人戦 得点圏に走者を置いた3打席でいずれも凡退するなど4打数無安打。中でも両チーム無得点で迎えた六回無死二塁の絶好機で巨人2番手・ケラーに中飛に。走者を進めることもできなかった打撃も響いて、最終的にチームはスコア0-1の完封負けだった。