<日本ハム-楽天>◇25日◇エスコンフィールド日本ハムが「グシャン」という衝撃音で一気に現実に引き戻された。引退登板の鍵谷が打者2人を完璧に抑えて、プロ野球人生を感動的に締めくくった直後。2番手で登板した“先発”金村が、1つのアウトを奪うの…

<日本ハム-楽天>◇25日◇エスコンフィールド

日本ハムが「グシャン」という衝撃音で一気に現実に引き戻された。引退登板の鍵谷が打者2人を完璧に抑えて、プロ野球人生を感動的に締めくくった直後。2番手で登板した“先発”金村が、1つのアウトを奪うのに苦労した。1回2死無走者で引き継いだ、感動の余韻が残る、特殊なマウンド。コントロールに自信がある2年目右腕のメカニズムが、慣れない雰囲気の中で狂ってしまった。

3番辰己にいきなり四球を与えると、4番浅村には遊撃への内野安打。2死一、二塁とされて5番安田のフルスイングから放たれた「グシャン」という衝撃音。フルカウントから投じた147キロ直球を完璧に捉えられた。右翼席へ先制2号3ランを運ばれた。感動ムードが一転、3点ビハインドからのスタート。いきなり重たい試合展開となってしまった。

この日も「勝てばCS進出」が決まる試合だった。同様の条件だった23日西武戦は先制しながら逆転負け。その試合後の新庄監督は「時間の問題でしょ」とすぐに気持ちを切り替えた。この日を含めて残り9試合で1勝がAクラス確定の条件。ここまでの選手たちの戦いぶりを見れば、時間の問題と言える自信もある。

そして、この日から29日までに本拠地エスコンフィールドで4試合を戦う。「『エスコンで決めたら』って言ってくれてるような」。最高の舞台は整ったが、苦しい試合展開は新庄監督にささやいてくれた野球の神様による、最後の試練なのかもしれない。

「野球は気を抜くと怖い」というのは指揮官の決まり文句。監督も選手も常に気張っている中で、合言葉は「愉しむ」。決しては楽はせず、心からヒリヒリした野球の試合ができる喜びを感じながら、必ず北海道で日本一への挑戦を勝ち取る。【木下大輔】