空手の東京五輪組手女子61キロ超級代表の植草歩(32)が24日、都内で現役引退会見を行った。同五輪の追加種目入りの際には競技の「顔」としてアピールに尽力したヒロインは、涙を浮かべ24年の競技人生を「幸せでした」と、振り返った。今後は9月1…

 空手の東京五輪組手女子61キロ超級代表の植草歩(32)が24日、都内で現役引退会見を行った。同五輪の追加種目入りの際には競技の「顔」としてアピールに尽力したヒロインは、涙を浮かべ24年の競技人生を「幸せでした」と、振り返った。今後は9月1日付で就任した母校日体大柏高の監督として後進の育成にあたるほか、ぽっちゃり女性のためのファッション誌「la farfa(ラ・ファーファ)」で専属モデルを務めるなどマルチ活動していく。

 空手界における激動の時代を駆け抜けたヒロイン。振り返れば思いがあふれた。それでも、いつもの愛らしい笑顔で競技生活に別れを告げた。ジャケット姿で登場した植草は「8歳から始めた空手を32歳まで続けることができて、本当に幸せに思います」と涙を浮かべながらも、真っすぐな瞳で前を見据えた。

 13年に東京五輪招致が決まり、14年から追加種目の選定が始まると、競技の「顔」として白羽の矢が立った。愛らしいキャラクターからついた愛称は「空手界のきゃりーぱみゅぱみゅ」。積極的にメディアに露出し、大きく貢献した。競技でも五輪本番こそ1次リーグ敗退だったが、全日本4連覇、プレミアリーグ年間王者など結果を出し続けた。「注目が力になった。成長にもつながったし、楽しかった」と振り返った。

 今後は9月から就任した母校日体大柏高の監督として後進の育成にあたるほか、自ら売り込み、オーディションを受けて採用されたというふくよかな女性向けのファッション誌「ラ・ファーファ」での専属モデルとしても活動する。

 競技人生を漢字一字で「歩」と表現した植草。「名前の通り一歩一歩歩んで、成長して上っていったと思う」。第二の人生も、力強く歩みを進めていく。

 ◆植草 歩(うえくさ・あゆみ)1992年7月25日生まれ、千葉県八街市出身。小学3年生の時に競技を始める。日体大柏高を経て帝京大に進学。17~19年、23年プレミアリーグ年間女王。世界選手権は16年に金メダルを獲得した。東京五輪1次リーグ敗退。168センチ。