<阪神0-1巨人>◇23日◇甲子園悲劇のままでは終われなかった。巨人坂本勇人内野手(35)が、代打に向かう感情はいつもと少し違った。「野球人生の中でもなかなかあそこまで悔しい思いをしたことがなかった。またああいう場面で回してくれた。すごい試…

<阪神0-1巨人>◇23日◇甲子園

悲劇のままでは終われなかった。巨人坂本勇人内野手(35)が、代打に向かう感情はいつもと少し違った。

「野球人生の中でもなかなかあそこまで悔しい思いをしたことがなかった。またああいう場面で回してくれた。すごい試練きたな、と。なんとかしたい、その一心だった」。0-0の7回無死一、三塁。カウント2-2から外角直球をおっつけて右前へ運び、打球を見届けると同時にほえた。

ノーステップで振ったバットは、指2本分短く握っていた。「普通にやっていたら全然打てないので。その打席でピッチャーに合わせて。スタメンも外れていた。何とか工夫して臨みました」。3年前からチームとして打ちあぐねていた阪神高橋から、23イニングぶりに奪った得点が決勝点。4年ぶりのリーグ優勝をまたグッと近づける、2位阪神との最後の直接対決での1勝だった。

頂上決戦に熱気を帯びる甲子園とは裏腹に、不気味なほど、この2試合はスコアが動かなかった。それほど、両チームの力が拮抗(きっこう)していた。前日は1点を追う満塁の場面で2球目を二飛に打ち取られ屈辱的な“3タコ”で0-1負け。「情けない。自分が情けないなと思いながら1日を過ごしました。僕はめちゃくちゃ暗かったと思うけど、今日も若い選手が元気出してやってくれたので、いい雰囲気でやれていると思う」。若手の声がベテランをよみがえらせた。

完封返しで最短優勝は27日中日戦(東京ドーム)。残り6試合。マジック4。「マジックは出ているけど、優勝するまで気を抜かず、若手、ベテラン一丸となって優勝します!」。今季最後の甲子園で、高らかに宣言した。【栗田成芳】

○…4番岡本和がつないだ。7回先頭の吉川が中前打で出て迎えた打席、内角攻めを引っ張って、左翼線へ運び一、三塁のチャンスを代打・坂本が仕留めた。「昨日は接戦を落として、今日は逆に接戦をものにできてよかった。1人1人、自分の役割をしっかりできていると思います」と、チーム力に確かな手応えを感じていた。

▽巨人グリフィン(中4日で先発し5回4安打無失点)「先に点を与えないことだけを考えて初回から全力で投げた。ゼロに抑えられて良かったし、自分の仕事はできたと思う」