<中日2-1広島>◇22日◇バンテリンドーム広島は日本新記録をつくった矢野雅哉内野手(25)の粘りを生かせず、中日に競り負けた。9月は15敗目(4勝)となり、球団では22年8月以来の月間15敗の屈辱。今日23日にも優勝の可能性が完全消滅する…

<中日2-1広島>◇22日◇バンテリンドーム

広島は日本新記録をつくった矢野雅哉内野手(25)の粘りを生かせず、中日に競り負けた。9月は15敗目(4勝)となり、球団では22年8月以来の月間15敗の屈辱。今日23日にも優勝の可能性が完全消滅する。さらに自力CS進出も消滅する可能性がある。

1球ファウルするたび、スタンドが沸いた。矢野が粘りに粘った。1-2の6回、1死から中日涌井に食らいつく。カウント2-2の6球目から7球連続ファウル。1球ボールでフルカウント。我慢比べは続く。8球連続ストライクを投げ込む涌井に、ファウルする矢野。観客も固唾(かたず)をのんで勝負を見守る。そして22球目はボール。矢野の勝ち。涌井は天を仰いだ。1打席で22球投げさせたのは、13年DeNA鶴岡らの19球を更新するプロ野球新記録。矢野は「何とかしてやろうという思いが最終的にその結果につながった」と胸を張った。新井監督も「すごく気迫を感じた打席だった」とたたえた。

この後、2死一、三塁の好機まで持っていったが、後続がなく無得点。8回には代走羽月が矢野の右安打で二塁から本塁突入も、細川の好返球で憤死。あと1点が遠かった。

9月大失速の広島は、デーゲームでDeNAが勝ったため、再びCS圏外の4位に落ちた。残り10試合。目の前の試合に全力を注ぐしかない。【高垣誠】

▼矢野が6回、涌井に22球投げさせて四球を選んだ。1打席に22球も投げさせたのはプロ野球史上初めてになる。過去の最多は1打席19球で3人おり、47年松井(太陽)が四球、12年明石(ソフトバンク)が四球、13年鶴岡(DeNA)が三振だった。