東京六大学野球秋季リーグは22日、立大が法大2回戦に7-4で勝利し、対戦成績を1勝1分けとした。広島・広陵高出身の“スーパー1年生”小林隼翔(はやか)内野手が「1番・遊撃」で出場し、2号ソロを含む5打数2安打1打点。今春まで打撃に苦戦し、…
東京六大学野球秋季リーグは22日、立大が法大2回戦に7-4で勝利し、対戦成績を1勝1分けとした。広島・広陵高出身の“スーパー1年生”小林隼翔(はやか)内野手が「1番・遊撃」で出場し、2号ソロを含む5打数2安打1打点。今春まで打撃に苦戦し、3季連続5位と低迷していた立大だが、今季はひと味違う。
小林隼がスタメンで1番を務めるのは、今季初めてだった。「1番打者として1打席目に自分がいい当たりをすれば、チームにいい流れを持って来られると思って、いつもより気を張っていました」。初回先頭で右打席に入ると、法大先発でプロ注目の左腕・吉鶴翔瑛投手(4年)が投じた真ん中付近のストレートを打ち、痛烈なサードライナー。出塁は叶わなかったが、イメージ通りの打撃はできた。
そして1点リードの3回。先頭で打席に入ると、カウント1-0から吉鶴が真ん中内寄りに投じたストレートをとらえ、打球はポール際の左翼席へ飛び込んでいった。「打った瞬間、飛距離は出ていると思いましたが、切れるかなと……入ってよかったです」と相好を崩した。
広陵高3年の昨年は、夏の甲子園大会に出場したが、最終的に107年ぶりの優勝を果たすことになる慶応高と3回戦で対戦し、延長10回タイブレークの末に惜敗した。全国的にはチームメートで「広陵のボンズ」の異名を取った真鍋慧内野手(大商大1年)の方が有名だが、打順は真鍋が3番、小林隼が4番だった。さらに同年9月の「WBSC U-18ベースボールワールドカップ」では、侍ジャパンU-18代表の主将を務めた。
立大進学後、最初のシーズンの今春から7試合でスタメン出場。今季は開幕カードの前週、慶大1回戦こそベンチスタートだったが、翌日の同2回戦に「2番・遊撃」で先発し、6回に放った自身のリーグ戦初本塁打がちょうど、東京六大学野球連盟の通算4000号となった。“持ってる男”なのだ。今季打率は.389(18打数7安打)となった(22日現在、以下同)。
同じリーグで、プロからの注目も集める明大・宗山塁内野手(4年)は、広陵高の3年先輩で、しかも同じ遊撃手。「今は雲の上の存在ですが、追いつき、超えていけるように、目標にしています」と臆するところはない。実際、ネット裏のスカウト陣もスーパー1年生に、早くも目を奪われている。巨人の榑松伸介スカウト部次長は「高校時代から目立っていた選手で、パワーが一番の魅力です。吉鶴投手のストレートを、ひと振りでとらえたのですから素晴らしい」と評し、「落ち着いて、まるで4年生のようにプレーしていた姿も印象的でした」と付け加えた。
立大は2017年の春を最後に優勝から遠ざかり、今春のリーグ戦も3季連続5位に終わった。特に打線が低調で、36得点はリーグ5位、チーム本塁打「2」は東大の「3」を下回るリーグワーストだった。ところが今季は、前週の開幕カードで慶大から勝ち点を奪取(2勝1敗)。リーグ2位の16得点を挙げ、チーム本塁打は5試合でリーグ最多の「4」に上る。打力アップは明らかだ。木村泰雄監督は「まるで違うチームのようですね」と目を細めるが、小林隼がチーム全体に刺激を与えている面は少なくないだろう。
木村監督は「(小林隼は)春に入学してから技術的にも、精神的にも、体力的にも、どんどん成長しています。このまま順調に経験を積んでもらいたい」と期待しつつ、「練習をやり過ぎてしまうところがあるので、そこは注意しないといけない」と苦笑した。今季は立大と小林隼から目が離せない。
(Full-Count 宮脇広久)