「広島5-4巨人」(21日、マツダスタジアム) 感じたことのない球場の雰囲気が背中を押してくれる。力をもらえた。広島・栗林良吏投手が実感を込める。「今日のマツダスタジアムの声援は自分がプロに入って一番だったと思う。身震いのする声援だった」…

 「広島5-4巨人」(21日、マツダスタジアム)

 感じたことのない球場の雰囲気が背中を押してくれる。力をもらえた。広島・栗林良吏投手が実感を込める。「今日のマツダスタジアムの声援は自分がプロに入って一番だったと思う。身震いのする声援だった」。過去の悪夢を断ち切った堂々の三者凡退で自己最多、そして08年に永川勝浩がマークした球団最多記録に並ぶ38個目のセーブを挙げた。

 味方が逆転した直後の九回に登板。先頭の代打・中山には3ボールとするも投直。続く丸は二ゴロに仕留め、浅野を空振り三振に斬ると、こん身のガッツポーズで本拠地を興奮に包み込んだ。

 11日・巨人戦以来、10日ぶりのマウンド。同戦では2点リードの九回に4四死球と制球が定まらず、プロ入りワーストの1イニング6失点。1死も奪えず降板し、チームは逆転負けを喫した。

 「自分が、ふがいないピッチングをしてからチーム状況も良くないし、それは自分でも分かっている。自分の出番が来ると決まった時から『今日こそは』という気持ちにもなった」。相手の攻撃が代打・中山から始まったのは、くしくも11日と同じ。雪辱への思い、勝利への執念、守護神の誇り、全てを結集させた。

 今月5日のDeNA戦。現在2軍調整中の松本が1点リードの延長十一回途中から救援し、1安打3四球で逆転サヨナラ負けを喫した。その夜、栗林は松本を誘って宿舎の食事会場で1時間の“反省会”を設けた。

 悔しい結果に終わった中でも収穫を一緒に振り返り、翌日の体のケアについて助言。さまざまな経験を経て自己最多の38セーブに到達した過程では、ブルペンの中心として仲間を鼓舞する姿があった。悔しさを乗り越えた広島の守護神。残り試合で、さらに巻き返す。