辻氏は西武監督時代の手腕も評価されている(C)産経新聞社  立浪和義監督の退任表明により、中日の次期監督に関する報道が過熱している。本稿では現在挙がっている候補者、そして考えられる可能性について綴ってみたい。【動画】こ…

 

辻氏は西武監督時代の手腕も評価されている(C)産経新聞社

 

 立浪和義監督の退任表明により、中日の次期監督に関する報道が過熱している。本稿では現在挙がっている候補者、そして考えられる可能性について綴ってみたい。

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■内部昇格が最もベターな選択肢

 まずは内部昇格から。10月6日のシーズン最終戦に間に合わせたい旨が球団幹部のコメントで出ており、これが最もベターなシナリオといえよう。

 筆頭は井上一樹2軍監督か。1軍の監督経験こそないものの、今季は2軍監督としてファームを優勝争いに導いている。阪神でヘッドコーチを務めるなど指導者経験は豊富で、確かに筆頭候補にふさわしい。本人の言う「陽の気」をトップチームにも注入してほしいのもある。

 懸念点は上述の通り1軍の監督経験がないこと。そして、現役時代から兄貴分として慕う立浪監督の後を引き継げるのかは気になるところだ。

 同じく和田一浩打撃コーチも監督経験はないが、「格」としては井上2軍監督を上回る。現役時代はFAで中日に加入し、リーグMVPを獲得した実力者。昨季よりコーチとして復帰すると、細川成也の才能開花にひと役買っている。長年の懸案である打線強化を引き続き進めていくにはうってつけの人物だ。チームの準地元・岐阜県出身というのも見逃せない。

■矢野氏だけでなく、辻氏の可能性は?

 在野から引っ張るならば、監督経験者から選ぶのが良いだろう。

 まず考えられるのは矢野燿大氏か。現役時代は阪神の印象が強いが、もともとは中日で7年プレー。捕手/外野手の準レギュラーで活躍した。その後、阪神の監督を務めるまで実績を積んだが、2022年限りで監督を退任。若手育成に定評があり、昨季の阪神日本一の際に再評価されていた。

 気になるのは今季に入って中日のOB戦に参戦したり、中日戦の中継解説を幾度も務めていること。確実に古巣との距離が縮まっている。今のチームは伸び盛りの若手が多い。立浪監督が取り組んでいた若手中心のチームづくりをさらに推し進められるのではないか。

 辻発彦氏も西武の出方次第では考えられるかもしれない。選手としてはプレー経験がないものの、指導者としては2期8年にわたり中日に在籍。チームや名古屋の文化は熟知している。西武の監督時代はリーグ連覇を果たし、実績は抜群だ。今年で65歳とやや高齢ではあるが、厳しさを持ちつつ選手に寄り添う姿勢は今どきの選手の気質に合うのは実証済み。所沢での再登板がないのなら、ぜひアタックしてもらいたい。

■無名でも「実務型」の外国人監督は面白い

「立浪和義」という「切り札」が無惨な結果に終わった中、後任は少なからず影響を受けてしまうだろう。ただ、影響をあまり受けなさそうな選択肢もある。ズバリ「外国人監督」だ。

 球団OBだと与田政権でコーチを務めたアロンゾ・パウエル氏が浮かぶが、指導者としては目立った成果を残せぬまま帰国。監督として戻ってくるのはいささか現実的ではないかもしれない。

 他方、近年NPBで監督を務めた人物だとアレックス・ラミレス氏がいるが、こちらはカリビアンシリーズ(2025年1〜2月に開催)に挑む日本チーム「ジャパンブリーズ」の監督に就任したため、球団との縁が薄い点を考慮しても招へいは考えにくい。

 MLBの名監督を呼ぶ案も考えられるが、果たして今の中日に何十億円規模の資金を用意できるかは疑問。ならば、日本では無名でもマイナーで成果を出している監督の方が固定観念もなく、目標に向けて邁進できるのかもしれない。かつてのトレイ・ヒルマン氏(元日本ハム監督)のような――。

 本音を言えば球団フロント、スカウティング部門を含めた抜本的な改革を行なった上で監督を選定すべきと思うが、おそらくそこまでの時間的猶予はない。現状は「井上監督・矢野ヘッドコーチ」のタッグ結成がベターか。

 いずれにしてもここから2週間程度でなんらかの結論は出るはず。中日の未来は一体誰に託されるのか、推移を見守りたい。

 

[文:尾張はじめ]

 

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