岩手県奥州市出身で、大リーグのドジャースで活躍する大谷翔平選手が19日(日本時間20日朝)、シーズン50本塁打、50盗塁の「50―50」を達成した。県内からも喜びと祝福の声があがった。 奥州市役所では20日午後3時、縦1・2メートル、横1…

 岩手県奥州市出身で、大リーグのドジャースで活躍する大谷翔平選手が19日(日本時間20日朝)、シーズン50本塁打、50盗塁の「50―50」を達成した。県内からも喜びと祝福の声があがった。

 奥州市役所では20日午後3時、縦1・2メートル、横10メートルの横断幕が掲げられた。市生涯学習スポーツ課は、来週あたりに記録が達成されると予測していた。そのため、「50本塁打50盗塁」を祝う横断幕は19日に完成。同課の鳥海友紀・上席主任は「まさかこんなに早く達成してくれるなんて。うれしい驚き。51―51になってしまい、読みが甘かったですね」と笑顔で話した。

 奥州市で飲食店を経営する石川悦哉さん(58)は達成を待ち望んでいた。「近所の人と『きょうも大谷くんが打ったね』が朝のあいさつ代わりでした。彼らしく、ど派手に決めてくれた。地元にとってこれ以上明るく、うれしいニュースはない」と笑顔を見せた。

 昨年、大谷選手は全国の小学校にグラブをプレゼントすると発表。釜石市の山間部にある児童30人の栗林小では、グラブが届いてからは、男女を問わずちょっとした野球ブームに。多くが初めてグラブを使うので、体育の授業で使い方を教わることから始めた。足りない分は、近所の人たちが使わなくなったグラブを寄付してくれた。

 4年の八木沢敬斗(たかと)さん(9)は春からスポーツ少年団の野球チームに入った。「先生ともキャッチボールをする。グラブはとても使いやすい」

 2年の小沢樟真(しょうま)さん(7)は年上の児童から教わったり、大谷選手の本を移動図書館で借りて読んだりしている。「来年はスポーツ少年団のチームに入りたい」と目を輝かせる。

 八木沢江利子校長は、大谷選手と同じ水沢南中学校出身。「大谷選手は夢を現実にする強さがある。活躍することで子どもたちは夢を高く持つことができる。努力して夢をつかんでほしい」と願っている。

 大谷選手の高校時代の試合で審判の経験もある平野公三・大槌町長は「我がことのようにうれしい。球速160キロを記録した時は高校生離れしていると思ったが、ここまでになるとは」と語った。達増拓也知事は20日午前9時すぎ、X(旧ツイッター)で「大谷無双。ビッグバンという感じの大暴れです」などと投稿し、「世界の人々に大きな感動と勇気を与えてくれました」とコメントを出した。

 記録達成を祝う企画やセールなども、続々と予定されている。盛岡市の商業施設「モナカ」では21日から3日間、商品が割引になる記念セールをする。

 奥州市の水沢鋳物工業協同組合では、大谷選手の握手像が展示されている市伝統産業会館を29日まで無料開放する。(松尾葉奈、東野真和、伊藤恵里奈)