ラグビー・リーグワン1部「三重ホンダヒート」を所有するホンダは19日、三重県鈴鹿市にある活動拠点を2026~27年シーズンから宇都宮市へ移すと発表した。チームの移転によって観客数の増加を目指す。 三重ホンダヒートは、1961年に鈴鹿製作所…

 ラグビー・リーグワン1部「三重ホンダヒート」を所有するホンダは19日、三重県鈴鹿市にある活動拠点を2026~27年シーズンから宇都宮市へ移すと発表した。チームの移転によって観客数の増加を目指す。

 三重ホンダヒートは、1961年に鈴鹿製作所のクラブとして創設された。昨季に日本ラグビー最高峰の1部に昇格したが、12チーム中11位と低迷。観客数も伸び悩み、鈴鹿市のホームスタジアムで実施された7試合の平均観客数は約3千人と、1部チーム平均の3分の1程度にとどまった。

 ホンダは26~27年シーズンでの優勝を目指すうえで、事業性や収益などを考慮し、1万5千人収容の栃木県グリーンスタジアムがある宇都宮市への移転を決めたという。

 チームが創設されて63年。三重ホンダヒートは試合に三重県民を無料招待したりファンとの交流会を開いたりしてきたほか、小中学校への出前授業、子育てイベントに参加するなど地域と密着した活動を続けていた。移転後も試合をするために来県し、交流活動を続ける意向だという。

 チームに去られる同県鈴鹿市は25日、ホンダとスポーツ振興に関する包括協定を締結する。末松則子市長は「より一層の連携した取り組みを推進し、これからも共に地域活性化を図っていきたい」とのコメントを出した。(高田誠)

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 移転先の栃木県や宇都宮市は地域活性化を期待する。

 三重ホンダヒートの拠点となる県営の県グリーンスタジアムは、次世代型路面電車(LRT)の「グリーンスタジアム前」が最寄りの停留場。国際大会が開催可能なサッカー・ラグビー場では、サッカーJ2・栃木SCの試合の一部が開催されているものの、LRT沿線には目立った観光施設がなく、将来に向けた土日祝日の沿線活性化が課題となっている。

 LRT沿線にはホンダや同社グループ企業が集まっている中、同社ラグビー部が沿線で試合を開催することで、通勤利用に加えてレジャー客の利用増が今後見込まれる。

 チーム移転によりLRT沿線では、Jリーグ、ラグビーのリーグワン、「駅東公園前」停留場に近い市体育館を本拠とするバスケットボールB1・宇都宮ブレックスの試合が開催されることになる。

 福田富一知事は「地域活性化にも寄与するものと期待できることから、円滑な移転に向け関係市町・団体等と連携しながら積極的に取り組む」などとコメントした。(石原剛文)