「阪神4-3広島」(14日、甲子園球場) 広島が8度目のサヨナラ負けで、今季ワーストの6連敗を喫した。3点リードを守り切れず、勝負の9月に入って悪夢の2勝10敗。悪い流れの中、15日・DeNA戦(マツダ)でドラフト1位・常広羽也斗投手(2…

 「阪神4-3広島」(14日、甲子園球場)

 広島が8度目のサヨナラ負けで、今季ワーストの6連敗を喫した。3点リードを守り切れず、勝負の9月に入って悪夢の2勝10敗。悪い流れの中、15日・DeNA戦(マツダ)でドラフト1位・常広羽也斗投手(22)=青学大=がプロ初登板初先発を果たす。崖っぷちに立たされた新井カープの救世主になってくれ!

 記念すべきデビュー戦は、6連敗中という最悪の状況で巡ってきた。なんとかチームを救ってくれ-。そんな鯉党の大きな期待を背負い、常広がプロ初登板初先発のマウンドに立つ。

 「1軍で投げられるチャンスをいただけたので、自分らしい投球をするだけかなと思います」

 ここまで決して順調な道のりではなかった。春季キャンプ後はコンディション不良のため、リハビリ組の3軍に合流。2軍初登板となった5月7日のウエスタン・阪神戦から5連敗を喫するなど、プロの高い壁にはね返された。

 だが、ここから大器の片りんを見せつける。8月11日のソフトバンク戦で6回1安打無失点で初勝利を手にすると、9月8日の同戦では、プロ入り最多の116球を投げ、9回8安打無失点で初完封勝利。1軍切符をつかみ取った一戦を「自分の得意なポイントや、修正ポイントを少しずつつかめてきている」と振り返り、自身の成長に手応えを感じている。

 本拠地のマウンドも経験済みだ。6月14日の同ソフトバンク戦はマツダ開催だった。先発して6回7安打6失点で負け投手になったが、景色、雰囲気などを肌で感じ取った。「楽しみな気持ちが大きい」と大歓声を力に変え、腕を振る覚悟だ。

 ナイター登板への準備も進めてきた。2軍で登板した11試合は全てデーゲーム。10日に1軍に合流してからは「今までと違って昼からの練習。そこから夜にかけて、という感じでやっている」。先輩投手に助言をもらいながら、万全の状態で第1球を投じられるよう調整を重ねてきた。

 新井監督からも心強い言葉をかけられている。「『結果は気にせずに、まずは自分の投球。捕手のサインにどんどん首を振っていいし、投げたいように投げればいい』と言ってもらいました」。指揮官からの後押しを胸に刻み、最大限のパフォーマンスを発揮する。

 13、14日はチームに帯同せず、マツダスタジアムで調整した。シーズン最終盤の大事な一戦だということは理解している。「この状況で1軍に上げてもらって、登板させてもらえることに対して、感謝の気持ちを持ってマウンドに上がりたい」と常広。ルーキーの快投が逆襲への幕開けとなる。

 ◆常広羽也斗(つねひろ・はやと)2001年9月18日生まれ、22歳。大分県出身。180センチ、77キロ。右投げ右打ち。投手。大分舞鶴、青学大を経て23年度ドラフト1位で広島入団。最速155キロの直球が魅力。プロ入り後、カットボールを覚えるなど努力を重ねた。今季はウエスタン11試合で2勝6敗、防御率4.06。