いよいよ秋の声が聞こえはじめると、Jリーグも終盤戦へ。頂点を目指す優勝争いや生き残りをかけた残留バトルは、さらに激しさを増していく。各チームのこれまでの戦いを振り返るとともに、2024シーズン終了までの見逃せないポイントを、ベテランのサッ…

 いよいよ秋の声が聞こえはじめると、Jリーグも終盤戦へ。頂点を目指す優勝争いや生き残りをかけた残留バトルは、さらに激しさを増していく。各チームのこれまでの戦いを振り返るとともに、2024シーズン終了までの見逃せないポイントを、ベテランのサッカージャーナリスト大住良之と後藤健生が語り尽くす!

■結局は「ブラジル人3人頼み」の横浜FM

――健闘するチームがある一方、残念だったチームはありますか。

後藤「川崎フロンターレでしょう。去年から不調が続いていて、ときどき良い試合をしても、またやられちゃう」

大住「横浜F・マリノスもそうだよね。2010年代の後半から2020年代前半を支配した2クラブが、明らかに力を落としている。見ていると、それらしいサッカーはやっているんだけど、まったく新鮮味がない。マリノスは、アンジェ・ポステコグルーが鍛えたポジショニングの良さと展開の速さで対戦相手を驚かせた。Jリーグでの革命のようなものだったけど、それをそのまま継続しようとしているだけで、相手にとってはまったく怖くない感じがする」

後藤「以前のレベルを継続していればよかったんだろうけど、明らかに劣化しているからね」

大住「そうなんだよね。結局は前線のブラジル人3選手が点を取れるかにかかっている。川崎も以前のようなサッカーをしようとしているけど、明らかに劣化している。以前はボールをぴたりと止めていた場面で、コントロールが乱れることがすごく多い。そういう状況で、止まってボールを受けるパスサッカーをやっていると難しいよね」

後藤「時代が変わった、ということだよ」

■「差がほとんどない」J1下位とJ2上位

大住「それから、順位は下のほうになるけど、サガン鳥栖もいよいよ体力尽きたという感じだよね。あれだけ毎年選手を引き抜かれても、奮闘してきたのにね。その鳥栖を抜いて北海道コンサドーレ札幌が19位に上がったけど、ここまでケガ人が多くて、守備がひどすぎた」

後藤「巻き返しに入るのが遅かったね」

大住「なかなか降格圏を抜けるのは難しいよね。現状で、17位の湘南ベルマーレとの間の勝点7差をひっくり返さないといけないんだから。磐田に勝点3差に迫ったけど、例年のようにJ2との入れ替え戦がないんだから18位になっても意味がない。最近ではJ2上位とJ1下位の差がほとんどないというか、チーム状態によっては逆転しているんだけどね」

後藤「川崎と横浜が引っ張った時代に、J1のレベルは確実に上がった。攻撃的なサッカーをするこの2チームに対抗するため、他のチームがカウンタープレスのサッカーをすることでレベルが上がっていった。そういう流れが、今はすぐにJ2、J3へとどんどん波及していくわけだよ。だから今はJ2のレベルが高いし、J3も降格ができたので、より勝負にこだわる試合をするようになっている」

■注目は「時間を止める」千葉の品田愛斗

――J2の昇格争いはどうですか。

後藤「首位の横浜FC、2位の清水エスパルスの自動昇格はほぼ決まりでしょ。あとは、プレーオフ圏内がどうなるかだよね」

大住「そこはまだまだ、まったく分からないね」

後藤「3位のV・ファーレン長崎は最近、足踏みしているけど、プレーオフ圏内の6位以内には入るでしょう」

大住「10位の藤枝MYFCくらいまで、プレーオフ進出の可能性はあるかな」

後藤「ジェフユナイテッド千葉が最近、良くなってきたよね」

大住「いつもシーズンの後半に良くなる」

後藤「去年もそうだったよね。今はボランチに入っている品田愛斗が良いんですよ。前節、小林慶行監督が時間を止めることができると評していた。ボールを収めて全体の動きを止めるような、そういう落ち着きどころになっているんだよ」

大住「そういう選手だったけ? 保有元のFC東京では、やたら頑張る選手だったという印象があるけど」

後藤「前のほうで頑張る選手だったけど、そういう選手になったんだよ。おかげで千葉にチームとしての安定感が出てきた」

大住「長崎の中盤にはマテウス・ジェズスというボランチがいるけど、あの選手もすごいよ。長崎は力があると思うけどな」

後藤「長崎は新しいスタジアムでプレーオフを戦って、そこでJ1復帰を決めてください、だね。せっかくあんな良いものをつくったんだから、盛り上がってほしいよね」

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