”森保ジャパン”は最終予選のスタートとなる9月シリーズで中国とバーレーンに連勝。しかも中国にはホームで7−0、バーレーンには”完全アウェー”の過酷な環境に打ち勝って、5−0の勝利を飾った。これで勝点6、得失点差は+12となり、C組の首位に。…

”森保ジャパン”は最終予選のスタートとなる9月シリーズで中国とバーレーンに連勝。しかも中国にはホームで7−0、バーレーンには”完全アウェー”の過酷な環境に打ち勝って、5−0の勝利を飾った。これで勝点6、得失点差は+12となり、C組の首位に。強豪国やW杯常連国の苦戦が多く目に付く今回の最終予選で、日本は際立った存在となっている。

 2試合続けて使われた3ー4ー2ー1は選手起用にも大きな影響をもたらしている。27人を招集したが、最終予選の1、2試合目ということもあってか、森保監督は大幅なスタメン入れ替えをせず。結果的に8人の選手が2試合で出番なく終わった。スタメンの選手はもちろん、途中から出て違いを作り出す選手など、最終予選では監督の評価が明確になってくる。そんな中で、27人中19人の選手しか、試合のピッチに立つことはできなかった。

 森保一監督はアジアの戦いにおいて、全体を押し上げてボールを支配しながら、常に相手ディフェンスに脅威を与えることを主眼としており、左右のウイングバックには6月シリーズで同ポジションをになった中村敬斗や堂安律、さらにはアジアカップ以来の代表復帰となる三笘薫伊東純也を起用している。

■当面の中心となる15人の選手

 もちろん、堂安が「全員の守備意識が高いし、これだけ良い選手が守備の重要性を理解しているのは世界基準になってきている」と語るように、攻撃的なイメージの強い選手たちが当たり前のように、森保監督の求める守備タスクをこなすことが、こうした布陣を可能にするベースとなっていることは間違いない。2試合続けて大勝したことは出場チャンスを得て、活躍を見せた選手の評価と信頼が、さらに高まったことを意味するだろう。

 2試合ともにスタメンで起用されたのはGK鈴木彩艶をはじめ、3バックの板倉滉谷口彰悟町田浩樹、ボランチのキャプテン遠藤航守田英正ウイングバックの堂安律と三笘薫、シャドーの南野拓実、1トップの上田綺世という10人だ。

 そして中国戦でスタメン、バーレーン戦で途中から投入された久保建英、2試合とも途中出場だった右サイドの伊東純也。そして中国戦は出番なしだったが、バーレーン戦で2シャドーの一角として4得点に絡む活躍を見せた鎌田大地。そして1トップの上田綺世。この15人は今後の活動でも当面は外しにくい選手たちと言える。

■出番がなかった8人は

 また上田と1トップを争うFWの小川航基も中国戦で後半34分から、バーレーン戦では後半20分から投入されており、中国戦は会心のヘッドがクロスバーに嫌われたが、バーレーン戦ではしっかりチームの5得点目を叩き出し、ストライカーとしての価値を最終予選の2試合目で示すことに成功した。ここまでの選手は少なくとも最終予選で、継続的に招集されていく可能性が高いと見る。

 バーレーン戦は出番がなかったが、アジアカップ以外は常時選ばれている田中碧。さらに中国戦で板倉に代わって代表デビューを果たした高井幸大、中国戦で三笘に代わって後半途中から左サイドに入り、ゴールを決めた前田大然、バーレーン戦で途中出場した中村敬斗、バーレーン戦の終盤にシャドーで起用された浅野拓磨なども最終予選のメンバーとして定着していく可能性は十分にあるが、鈴木をのぞくGKの二人はもちろん、フィールド選手を合わせて8人が2試合ともチャンスを与えられなかったということは今後のメンバー先行、起用法にも影響を与えそうだ。

(取材・文/河治良幸)

(後編へ続く)

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