2026FIFAワールドカップアジア最終予選のスタートで使われた3ー4ー2ー1だが、森保一監督が中国戦とバーレーン戦で大幅なスタメン入れ替えを行わなかったため、現時点でのコアメンバーというのがある程度は見えてきた。 怪我やコンディション不…
2026FIFAワールドカップアジア最終予選のスタートで使われた3ー4ー2ー1だが、森保一監督が中国戦とバーレーン戦で大幅なスタメン入れ替えを行わなかったため、現時点でのコアメンバーというのがある程度は見えてきた。
怪我やコンディション不良がない限り、強敵のサウジアラビア、オーストラリアと対戦する10月シリーズでも主力を担いそうなGKが鈴木彩艶だ。アジアカップでの悔しい思いを乗り越えて、現在はセリエAのパルマでスタメンを張る鈴木は「自分の仕事というのは多くなかったですけど。その上で、やるべきことを、守備陣と協力して、しっかりとできた」と無失点で終えた2試合を総括した。
まだ22歳と伸び盛りであるだけに、順調なら長く日本のゴールマウスを守っていく期待もあるが、独壇場というよりは、年齢の近い大迫敬介や谷晃生、そしてA代表は未招集だが、パリ五輪で正GKを務めた小久保玲央ブライアンなどとのハイレベルな競争が続いていくことが理想だ。
■三笘薫、堂安律、伊東純也の3人の主力に
3バックは冨安健洋と伊藤洋輝が年内にも復帰してくると見られるだけに、今回の2試合で好パフォーマンスを見せた板倉滉、谷口彰悟、町田浩樹にとっても厳しい競争が続いていくと見られる。中国戦で終盤から板倉に代わり右センターバックを担った20歳の高井の台頭にも期待したいが、今回は2試合出番がなかった中山雄太も引き続き候補であることは間違いなく、また招集外にも有力選手は多くいる。
また、どこかで再び4バックを使う可能性も頭に入れながら、森保監督はメンバー構成を考えていくはず。サイドバックが本職の選手にとってはそこは1つの生命線になってくる。
ウイングバックは2試合にスタメンで出場した左の三笘薫と右の堂安律、さらに2試合ともジョーカー的な形でチームの勢いを加速させた伊東純也の3人が現在考えられる主力メンバーで、そこに左の前田大然、中村敬斗が加わる。難しいのは今回のシリーズで2試合出番のなかった菅原由勢だが、3ー4ー2ー1でも強力な左のサイドアタッカーがいる相手なら、このシステムでも重要な存在になりうる。
一方で、長友佑都は3バックだと明確なポジションは得にくいかもしれない。それでもチームに与える影響は大きく、4バックに変更する想定も含めて、森保監督も外しがたい選手だろう。
■旗手怜央はスペシャリティがカギに
ボランチは遠藤航と守田英正に、バーレーン戦の当日に26歳の誕生日を迎えた田中碧がいかに迫っていけるか。鎌田大地はシャドーとボランチがこなせるポリバレントとして重宝されていきそうだ。
一方で2試合ともベンチ外だった旗手怜央はこのシステムだと、ボランチ、シャドー、ウイングバックの3ポジションで選択肢になるものの、各ポジションのライバルを上回るスペシャリティを出していかないと、主力の競争に食い込むことは難しい。
そのほか、今回は召集されていないが、3ー4ー2ー1というシステムとの相性を考えると、欧州から広島に帰ってきた川辺駿などにもチャンスは回ってくるかもしれない。
最も激しい競争が繰り広げられそうなのがシャドーだ。現在の主力である南野拓実、久保建英、鎌田大地の3人だけでも持ち味が異なる上に、浅野拓磨や細谷真大のようなFWの選手も選択肢になってくる。今回のシリーズではなかったが、三笘がシャドーに関して「サイドで一対一のシチュエーションはうまく出しつつ、中でもプレーできると思っている」と語っていたのも気になるところ。左なら中村、右なら堂安や伊東が2シャドーに入る選択肢も出てくるだろう。
■1トップも2シャドウに大きく影響
FWは1トップなので4ー2ー3ー1の場合とそう大きく変わるわけではないが、中国戦とバーレーン戦を見ても分かるように、2シャドーとの絡みがゴールにつながりうる。上田と小川の競争に、細谷などがどこまで割って入れるか。ある意味で、日本代表の命運を握る競争になっていきそうだ。
3バックとボランチを支えとして、ウイングバック、シャドー、1トップの5枚をいかに組んでいくかが、3ー4ー2ー1をメインに戦っていく上での重大なテーマになる。その意味では3ー2ー4ー1と表現して良いかもしれないが、対戦相手との兼ね合いで、より守備やバランスを考えた構成も考えられる中で、森保監督がどういったチョイスをしていくか興味深いポイントになっていきそうだ。
(取材・文/河治良幸)