いよいよ秋の声が聞こえはじめると、Jリーグも終盤戦へ。頂点を目指す優勝争いや生き残りをかけた残留バトルは、さらに激しさを増していく。各チームのこれまでの戦いを振り返るとともに、2024シーズン終了までの見逃せないポイントを、ベテランのサッ…

 いよいよ秋の声が聞こえはじめると、Jリーグも終盤戦へ。頂点を目指す優勝争いや生き残りをかけた残留バトルは、さらに激しさを増していく。各チームのこれまでの戦いを振り返るとともに、2024シーズン終了までの見逃せないポイントを、ベテランのサッカージャーナリスト大住良之と後藤健生が語り尽くす!

■広島「週2試合のペース」が終盤まで

――得失点差とはいえ首位から後退したFC町田ゼルビアですが、この先はどうなると思いますか。

大住「今は確かに一時ほどの勢いはない感じはするけど、最後まで優勝争いを続けて、良いタイミングでシーズンが終われば、優勝するんじゃないかなと思う。町田が優勝するんじゃないかと思う一番の理由は、ACL。現在、首位のサンフレッチェ広島や3位のヴィッセル神戸にとって、ACLへの出場がすごく大きな要素になると思うんだよね。4位の鹿島アントラーズは出場しないけど」

後藤「だから、次節の鹿島と広島の試合は重要だよね。町田に挑むチャレンジャーがどちらになるのかがかかる試合だよ」

大住「広島の日程を見ると、終盤まで週2試合のペースが続くんだよね」

後藤「ついに2つ、大会から外れたけどね」

大住「そうだね、カップ戦をあと3、4試合も戦ったら、さらに大変になっただろうね」

■7連勝も「待ち受ける」アジア旅と遠征

後藤「広島はすごいよ。メンバーをあまり変えないまま、あれだけの試合をこなして、さらに勝っているんだから。信じられないチームだよ。これは、たまたま今年だけの現象じゃないんだよね。いつも過密日程になっても、あまりターンオーバーをしないで、暑くても平気で勝っている。実績はあるわけですよ」

大住「限界があるような気がするけどな」

後藤「ミヒャエル・スキッベ監督が練習量をうまく調整して、連戦でも戦えるようにチームをマネジメントしているわけでしょ」

大住「でも今度はアジアの旅(ACL)​があって…」

後藤「今回の旅行は、香港とか割と近いところでしょ」

大住「オーストラリアがあるんだよ」

後藤「そもそも広島は、Jリーグでも遠征が大変なんだよ。今は関東のチームが増えているし」

大住「直近では7連勝と、調子が良いけどね。4月から5月にかけて、4連続引き分けの後に2連敗という時期があった。あそこでもう少ししっかり結果を出せていたら、ACLがあっても逃げ切れるんじゃないかなという状態になっていたと思うけど」

■大橋祐紀イングランド移籍を「新戦力」でカバー

――大橋祐紀のイングランド移籍も、痛手にはなったはずです。

大住「大橋祐紀がイングランドに移籍してしまったけど、新たに獲得したトルガイ・アルスランがうまい具合を超えるくらいにはまって、点を取りまくっているというのはすごいことだよ」

後藤「さらに元ポルトガル代表のゴンサロ・パシエンシアを獲得したでしょ。決して裕福なクラブではないはずなのに、うまく選手を連れてきたよね。スキッベ監督の人脈を活用したらしいけど」

――大住さんは町田を優勝候補に改めて推していますが、後藤さんはどうですか。

後藤「僕はシーズン前から広島と言っていたので、義理を通して広島を押し続けます」

大住「僕は開幕前、町田が優勝するなんて、まったく言っていなかったけどね(笑)」

後藤「大住さんが言うように、一時期だいぶ調子が落ちたので優勝は無理かなとは思った。スキッベ監督自身も、我々は最初から優勝なんて目指していないと話していたけど、そこから勝利を重ねて、ついに首位に浮上してしまった。これから涼しくなるし、優勝は不可能ではないと思うよ」

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