「ヤクルト5-3阪神」(8日、神宮球場) 阪神は目を覆いたくなるような失策が敗戦へとつながった。0-2の三回1死、長岡が三塁後方に打ち上げた平凡な飛球を佐藤輝明内野手が落球。グラブからこぼれた打球が頭に当たり、フェアゾーンに転がった。この…

 「ヤクルト5-3阪神」(8日、神宮球場)

 阪神は目を覆いたくなるような失策が敗戦へとつながった。0-2の三回1死、長岡が三塁後方に打ち上げた平凡な飛球を佐藤輝明内野手が落球。グラブからこぼれた打球が頭に当たり、フェアゾーンに転がった。この日は通常より1時間早い午後5時開始だった。薄暮や照明の影響も考えられたが、佐藤輝は「いや、特にそれはないです」と言い訳はしなかった。

 このエラーを引き金に2死一、二塁のピンチを招くと、西勇が沢井に痛恨の3ランを被弾。一気に5点差となり、試合の大勢が決した。

 「防ぎようがないもんな、ホームランは。2点(差)でな、踏ん張ってたらな、絶対(逆転の)チャンスあったけどな」

 岡田監督は佐藤輝のミスを責めることなく、淡々と敗戦を受け止めた。

 初回、先頭の近本が左前打で出塁したが、続く中野が犠打を決められなかった。強攻に切り替えたが、近本が盗塁死。中野は「今後はそういうワンプレーが大事になってくる試合が多いと思う。こだわってやっていきたい」と反省を口にしたが、佐藤輝の失策も含め、自らのミスで試合の流れを手放す形となった。

 四回に森下が13号2ランで反撃ののろしを上げた。八回には1死二、三塁で中野の三ゴロ間に1点を返し、2点差まで追いすがった。ただ、三回までに背負った5点のビハインドが重すぎた。「(午後)6時からゲームしとったら勝ってたよな。3-0やったな」。岡田監督は苦笑いを交えつつ、独特の表現でチームの追い上げを評価した。

 デーゲームで敗れていた巨人、広島に付き合うように連勝が5で止まった。上位との差を詰めるチャンスを逸し、指揮官は「上2つ負けてるの分かってての試合やったからな。なんか複雑やな」と首をひねった。

 「そんな全部勝たれへんて」と敗戦の痛みを引きずることはなかった。首位と2・5差を保ったまま、10日から甲子園での7連戦を迎える。聖地で仕切り直し、逆転連覇へ再加速する。

 ◆宇野のヘディング落球 1981年8月26日の巨人-中日19回戦(後楽園)の七回2死二塁、中日の遊撃・宇野が平凡な飛球を捕球できず、ボールが頭部を直撃。大きく跳ねて外野を転々とする間に二走が生還した。打者の山本功も本塁を狙ったが、アウトになった。この凡ミスに、完封を狙っていた投手の星野はグラブを地面にたたきつけて怒りを爆発させた。