<ソフトバンク3-1西武>◇8日◇みずほペイペイドームソフトバンク松本晴投手(23)が、連敗を4で止めた。西武打線を相手に5回2/3を投げ、3安打1失点の好投。5回まで毎回の8奪三振もマークし、プロ2勝目をつかんだ。3月下旬の右太ももの負傷…

<ソフトバンク3-1西武>◇8日◇みずほペイペイドーム

ソフトバンク松本晴投手(23)が、連敗を4で止めた。西武打線を相手に5回2/3を投げ、3安打1失点の好投。5回まで毎回の8奪三振もマークし、プロ2勝目をつかんだ。3月下旬の右太ももの負傷で出遅れた今季。約3カ月間のリハビリ期間中に剣豪・宮本武蔵の「五輪書」を読破した。勝者のメンタリティーに触れた左腕がチームの嫌な流れを断ち切った。優勝マジックを5戦ぶりに減らし、13とした。

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連敗ストップの立役者となった松本晴が、心地良さそうに汗をぬぐった。充実感もにじませ、2勝目が実は「正夢」になったことを笑顔で明かした。

「昨日の夜に(西武を)抑える夢を見ました。実際に勝って、ヒーローインタビューも受けていた。正夢になって良かったですね」

なりふり構わず、初回からエンジン全開。この日の最速150キロ直球がさえ、ブレーキのかかるカーブ、チェンジアップで緩急をつけた。5回まで毎回の8奪三振もマークした。「最後はバテた」と5回2/3で降板も、3安打1失点の好投。プロ入り後、最多の99球を投じ「集中して投げることができた」と胸を張った。

プロ2年目の飛躍を誓いながら、出遅れた。3月下旬の右太もも負傷で、約3カ月間のリハビリ生活を送った。趣味の読書で手にしたのは、剣豪・宮本武蔵が兵法の極意を記した「五輪書」だった。「ドライブがてらに」と、武蔵が「五輪書」を書いたとされる熊本の雲巌禅寺(うんがんぜんじ)にも車を走らせた。「勝ち運をもらいましたね」と笑う。剣豪のメンタリティーに触れた経験も生かし、チームを救った。

左腕の快投に、倉野1軍投手チーフコーチは「期待以上。ほんとに素晴らしいピッチングをしてくれた」と手放しでたたえた。プロ初勝利後の8月25日の日本ハム戦で、3回1/3を4失点で降板。1度は中継ぎへ配置転換された。2勝目を挙げての今後について、同コーチは「そうなると思います」と先発ローテで回っていく見通しを示した。

チームは5戦ぶりに優勝マジックを減らした。2位日本ハムが敗れ、2減の13に。歓喜のゴールへ、再びカウントダウンが始まった。松本晴は「プレッシャーを感じる部分もあるけど、それよりも得られるものがある。すごくチャンスだと思う」。4年ぶりのペナント制覇への一翼を担う。【佐藤究】