北中米ワールドカップ・アジア最終予選がついにスタートした。日本代表は、9月5日に中国代表とホームで初戦を戦い、7-0と快勝。続いて、現地時間10日(日本時間11日午前1時)には、アウェイでバーレーンとの第2戦を戦う。初戦の内容から何を学び…

 北中米ワールドカップ・アジア最終予選がついにスタートした。日本代表は、9月5日に中国代表とホームで初戦を戦い、7-0と快勝。続いて、現地時間10日(日本時間11日午前1時)には、アウェイでバーレーンとの第2戦を戦う。初戦の内容から何を学び、次の試合につなげていくべきか。ベテランサッカージャーナリストの大住良之と後藤健生が存分に語り尽くす!

■少ないプレー機会でも「危なっかしい」GK

――CF以外に、気になったポジションはありますか。

後藤「GKの鈴木彩艶は、どうだったかな。プレー機会が非常に少ない中でも、ちょっと危なっかしいパスがあったな」

大住「そうなんだよね。中国がもっとプレッシャーをかけたら、何か起こっていたかもしれない」

後藤「彩艶を起用すること自体には、僕は大賛成なんですよ。この段階で経験を積ませて、ワールドカップ本大会までに完成すればいいわけで。今はミスをしてもいいから、試合に出してほしい。とはいえ、何か不安があるとすれば、やはりGKかな、という気はする」

大住「3年前に前回大会の最終予選が始まったときにも、僕は森保一監督は頑固だという話しをしたじゃない。その頑固さが、今は彩艶の起用に表れているよね」

後藤「彩艶がものになるかどうかは、相当なギャンブルだと思う。でも、この賭けに成功したら、本当にワールドカップ決勝進出だってありえるよ。幸い、この夏にイタリアのパルマに移籍して、セリエAというレベルの高いリーグでプレーさせてもらえるようになったのは本当にありがたいこと」

大住「出続けてほしいよね」

後藤「前節で退場処分を受けたから、次の試合には出られないけどね(笑)。でも、セリエAでの試合を見ていると、悪くないよ。けっこう難しいシュートもしっかり止めて、弾くべきところは完璧に弾いている。それに、あのロングキックは効果的だし。もちろん、何かしらミスをするというのは、毎試合あるけどね」

■ビルドアップの際は「2タッチ以下」でプレー

――他に気になった点はありますか。

大住「全体的に、ボールを保持して突破口を探しているときに、もうちょっとテンポが必要なんじゃないかなと思った。見ていると3タッチ以上のプレーが多い。基本的に、ビルドアップするときには2タッチ以下で回していかないと、なかなか相手を疲れさせられないので、崩していくのは難しい。3タッチだと、相手を守備に振り回せられないんだよ。そういう面では、ヨーロッパのトップチームなら、ああいう甘さは見せないだろうと思った」

後藤「攻撃的な布陣のわりに慎重だったと僕が指摘したのは、まさにそういう点だったんだよね。パスを回すことはできるけど、変な奪われ方をしないようにするという意識が相当強いというか」

大住「しかし、パススピードも含め、パス回しのテンポを上げないと、そういうゲームをしていかないと、ワールドカップでの結果にはつながらないという気はするんだけどね」

後藤「そこが難しいところだよね。アジアで確実に勝っていくことと、ワールドカップ用のチームをつくっていくことを並行して行っていくのは難しい。予選から強いチームと対戦すれば、もっと強くなるのにね」

■バーレーン戦で「結果」を手にするために

大住「やはり中国が、ちょっと物足りなかったかな。中国の強みはフィジカルなんだから、体の強さを活かして、もっとロングボールを使うべきだったんじゃないかな。そうしたら、彩艶にもプレッシャーがかかって、さらなる成長につながったかもしれない。遠藤航の先制点は非常に大きかったけど、それ以上に三笘薫が前半終了間際に決めたヘディングが相手の戦意を失わせたのかな。ただし、日本もボール保持率が高い割には、シュート数は15本と決して多くはなかった。やたらと簡単にシュートを打てる試合ではなかった、ということなんだろうね。だからこそ、もうちょっと2タッチ以内の速いボール回しをして、相手を疲れさせることが必要だったんじゃないかなと思うんだけどね」

後藤「まあ、本気で20点取るつもりで戦っているわけじゃないからね。着実に勝つということが、ワールドカップ予選においては重要になるから」

――次のバーレーン戦はアウェイですし、結果を手にするために守備的に戦うということもありえるのでしょうか。

後藤「何しろ、次の一番の問題は暑さでしょ。日中には気温が37度くらいまでに上がるし、試合開始が現地時間の19時とそれほど遅い時刻じゃないから、まだ相当暑いと思う。あまり体が動かないことを前提に試合をしないといけないから、まずは守備に力を入れておいたほうがいいよね。ただし、バーレーンも、南半球だから季節が反対の冬場のオーストラリアでの試合を終えて帰ってくるから、ヘロヘロなんだけどね」

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