三笘薫(ブライトン)や冨安健洋(アーセナル)などプレミアリーグで活躍する日本人選手たちが「本当に羨ましい」と語るのは、日本代表ディフェンダー(以降、DF)の町田浩樹(27)。現在、ベルギー1部ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズに所属する…

 三笘薫(ブライトン)や冨安健洋(アーセナル)などプレミアリーグで活躍する日本人選手たちが「本当に羨ましい」と語るのは、日本代表ディフェンダー(以降、DF)の町田浩樹(27)。現在、ベルギー1部ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズに所属する町田が、「もうひとつ上のレベルでプレーしてみたい」──そう考えるきっかけのひとつになったのは、昨シーズンの欧州リーグで相まみえたリバプールとの一戦だったという。(インタビュー#6)

■パスを出す“出し手”にも「驚きました」

 サン=ジロワーズは、ホーム&アウェイの2試合でリバプールと対戦。その中で、町田に強烈な印象を残したのは、リバプールのエースFWモハメド・サラーだった。リバプールの本拠地アンフィールドで行われた試合で、これまで経験したことのない状況に陥ったという。
「サラーとのマッチアップで、僕はもう前半で足がつりそうになりました(苦笑)。サラーが前半の45分で交代してくれたので、すごいホッとしたんです。
 サラーと90分マッチアップしていたら、たぶん、やられていたと思います。スピード感も違いますし、駆け引きの多さも違う。一瞬でも気を抜いたら裏を取られるし、1歩でも相手に詰めなかったらドリブルで仕掛けられる。細かいディテールの差を感じましたね」
 凄みを感じたのは、サラーだけではなかった。目を引いたのは、サラーにパスを供給する周りの選手たち。スピード抜群のサラーにピンポイントでパスを出す選手がいるからこそ、エジプト代表の怖さが倍増した。
「サラーにパスを出す、いわゆる”出し手”にも驚きました。ベルギーだったら“ここは出てこないだろう”というところにパスを入れてくる。ピンポイントでパスを出せる選手がいるので、サラーのような選手の対応がすごく難しい。クオリティの高さを感じました」
 そのプレミアリーグで、町田が「凄い選手」と注目しているセンターバック(以降、CB)がいる。

■「まったく歯が立たないのか?」と言われたら

 トッテナムに所属するオランダ代表DFミッキー・ファンデフェンだ。町田と同じ、左利きのCB。高さと強さ、速さ、確かな足技を持つモダンなCBで、昨夏に加わると、すぐにチームの中心選手になった。
 23歳とまだ若く、町田と比べても4歳年下になる。だが町田は、オランダ代表DFには現代サッカーに必要な能力がすべて詰まっていると力を込める。
「すごい選手。本当に何でもできる。高さもあって、スピードもある。あの大きさでスピードがあり、技術も高い。現代サッカーのお手本のような存在ですね。
 トッテナムはDFラインを高い位置に設定し、特殊な戦術を採用しています。そのため、CBがカバーするエリアは広い。“CB泣かせ”の戦術とも言えますし、相手に足の速いFWがいたらCBはキツいとは思います。ただ、そういうプレーも、現代のCBには必要と感じますね」

 もちろん、憧れているだけではない。町田が抱いているのは、プレミアリーグに挑戦することになっても「やれる」という強い気持ち。こうしたマインドは、サン=ジロワーズで一緒に戦った三笘の言葉とシンクロしたという。町田は、三笘との会話を次のように明かす。
「カオルがプレミアリーグに行って、間もない頃のことだったと思います。彼に“やっぱりプレミアは凄いの?”と聞いたんです。彼は“いや、意外とできるよ”と答えていました。

 こういう考え方は、けっこう大事なことだと思っています。
 僕自身、リバプールと欧州リーグで対戦しました。もちろん、彼らは凄い。スピードもあるし、クオリティも高い。だけど、“まったく歯が立たないのか?”と言われたら、そんなことはない。
 実際、僕らのホームゲームでは、リバプールに勝ちました。雲の上の存在と思わないことが大事なのかなと思っています」
        ※                        ※
 鹿島アントラーズからベルギーに籍を移したのは、今から2年半前。さらなる成長を期して飛び込んだベルギーでは、カップ戦のタイトルを獲得して自信も増したが、欧州リーグを通じて世界最高峰プレミアリーグの凄みも体感した。
 まだまだ上には上がいる。そう感じつつも、彼らも決して手が届かない存在ではない。
 さらなる飛翔に向けて、新たな挑戦の日々が再び始まった町田だが、実はサッカー選手以外の顔があるのをご存じだろうか?

※町田浩樹プロフィールは【独占インタビュー2】もしくは【独占インタビュー5】をご確認ください。

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