70年近い伝統を持つ難コース、ダーリントンでは、土曜日のエクスフィニティでファイナルラップまで首位を争った末にデニー・ハムリンが勝利。日曜日のカップ・シリーズでも“トヨタ カムリ”勢が首位を争い、終盤逆転したハムリンが今季2勝目を挙げ、ダー…

70年近い伝統を持つ難コース、ダーリントンでは、土曜日のエクスフィニティでファイナルラップまで首位を争った末にデニー・ハムリンが勝利。日曜日のカップ・シリーズでも“トヨタ カムリ”勢が首位を争い、終盤逆転したハムリンが今季2勝目を挙げ、ダーリントンの週末を両シリーズ制覇した。カナダで行われたトラック・シリーズでは、19歳のルーキー、ノア・グラッグソンが自己最高となる2位フィニッシュを果たした。

9月3日(日)、米国南東部サウスカロライナ州ダーリントンのダーリントン・レースウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第25戦「Bojangles’ Southern 500」が開催された。
ダーリントンは70年近い歴史を持つ、伝統のコースのひとつ。第1/第2ターンと第3/第4ターンの曲率が異なる難コースで、壁への接触が頻発し、壁側、そして車両側に残る接触跡は「ダーリントン・ストライプ」と呼ばれる。
カップ・シリーズの終盤10戦で選抜された上位ドライバーによりタイトルが争われる“プレーオフ”まで残り2戦となるレースでもある。
この伝統の一戦は例年、9月の第1月曜日が祝日となる「レイバー・デー(労働者の日)」の前日に、日曜日としては珍しくナイトレースとして行われる。伝統のレースにふさわしく、多くの車両が、往年の名車をイメージした特別カラーリングで今大会に臨んだ。
トヨタ勢はダーリントンで現在2連勝中。昨年はマーティン・トゥルーエクス・Jr.が勝利を挙げている。 

3日(日)午後6時21分、1.366マイルオーバルを100周、100周、167周の3ステージ合計367周(501.3マイル:約800km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。
序盤は2,3番手からスタートを切ったトゥルーエクス・Jr.とカイル・ブッシュ、そして前日のエクスフィニティ戦を制し、9番手からスタートしたデニー・ハムリンがトップ5へ浮上し上位を争った。ステージ1中盤以降はイエローコーションが出ず、50周以上に渡ってグリーンのまま周回。ずっと2位を走行していたトゥルーエクス・Jr.は、ファイナルラップに首位を奪い、ステージ1を制覇。今季16度目のステージウィンを果たした。ハムリンが3位、ルーキーのエリック・ジョーンズが6位、カイル・ブッシュはハンドリングに苦しみ9位となった。
ステージ2もトゥルーエクス・Jr.が2位で首位の車両を追う展開。一方、19番手スタートからトップ10入りを狙っていたルーキーのダニエル・スアレツが125周目に壁にクラッシュし、無念のリタイアとなってしまった。
再スタート後、首位を追い続けたトゥルーエクス・Jr.は148周目に首位を奪還。155周目に3台が絡むクラッシュでコーションが出されると、ピット作業でハムリンが先行。ステージ2の後半戦は、逃げるハムリンと追うトゥルーエクス・Jr.による激しい首位争いが繰り広げられた。
ステージ2は後6周というところでクラッシュ車両が発生し、イエローコーションのまま終了。コーション発生時に前に出ていたトゥルーエクス・Jr.が今季17度目のステージウィン。この時点で、1戦と1ステージを残して、トゥルーエクス・Jr.はレギュラーシーズンのポイントリーダーを確定。プレーオフへ向け、15点のボーナスポイントを獲得することとなった。
ステージ2はハムリンが2位、カイル・ブッシュが5位、ケンゼスが10位となった。
ステージ3も序盤から“トヨタ カムリ”勢が支配。首位のハムリンをカイル・ブッシュが追い、ピットで5位まで順位を落としたトゥルーエクス・Jr.が追い上げを見せ、241周目には3位へ浮上。まもなくカイル・ブッシュもかわして再び首位のハムリンを追う形となった。
ステージ3はイエローコーションがあまり出ない展開となり、特に最後の100周あまりがグリーンのまま推移したため、各チームグリーンフラッグ下でのピットを含む、ピット戦略が分かれた。
313周目、グリーンフラッグピットを行うべくコースイン側へ向かったハムリンだったが、ブレーキングが間に合わずにピットロードに入りそびれ、翌周カイル・ブッシュと同タイミングでピットインすることとなり、大きくタイムロス。
ピット作戦の異なるグループ、ケンゼスらが330周目過ぎから最後のピットインを終えると、早めにピットインしていたトゥルーエクス・Jr.が首位に浮上。トゥルーエクス・Jr.よりもタイヤの新しいハムリンとカイル・ブッシュが猛烈な勢いでの追い上げを開始した。
ハムリンはみるみるうちにトゥルーエクス・Jr.との差を詰め、残り5周ほどで2台はテール・トゥ・ノーズに。次々に現れる周回遅れをかわしながらの首位争いが繰り広げられたが、残り2周というところでトゥルーエクス・Jr.はまさかのタイヤバーストに見舞われ、壁にヒット。
しかし、イエローコーションは出ないまま周回が続き、ハムリンがトップチェッカー。今季2勝目を挙げた。2位にカイル・ブッシュ。エリック・ジョーンズが5位、ケンゼスが6位、スローダウンしながらも最後まで走り切ったトゥルーエクス・Jr.は8位でチェッカーを受け、“トヨタ カムリ”は1-2フィニッシュと共に、5台がトップ10入りを果たした。
今季シーズンの前半は苦戦したトヨタ勢だが、直近の8戦中6勝と速さを取り戻しており、一時大差をつけられていたマニュファクチャラーズランキングでも、僅差ながら3メーカーの中での首位に立った。 

次戦第26戦は9月9日(土)、米国東部バージニア州リッチモンドのリッチモンド・インターナショナル・レースウェイで、"プレーオフ"前最後となるレースが行われる。 

ドライバー デニー・ハムリン:
「ピットロードに入りそびれて、恐らく10秒から12秒ロスしてしまった。このロスを取り返して勝てるかどうかは分からなかったが、毎周壁ぎりぎりで全力の走りを続けた。クルーチーフがずっとプッシュ、プッシュと鼓舞してくれた。彼(マーティン・トゥルーエクス・Jr.)に追いついてからも良い走りが出来、パスできると思った直後、彼はターン3の立ち上がりでタイヤがバーストしたように見えた。この週末の両レースを制覇できたことは大きな意味を持つ。このレースは伝統のサザン500だ。祖父の代からの、多くの歴史を持っている。そんなダーリントンのヴィクトリーレーンに立つことが出来て本当に幸せだ」