◆プロボクシング ▽WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦 ○統一王者・井上尚弥(TKO7回16秒)WBO同級2位TJ・ドヘニー●(3日、東京・有明アリーナ) 終わり方こそドヘニーの腰の負傷だったが、あれ…

◆プロボクシング ▽WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦 ○統一王者・井上尚弥(TKO7回16秒)WBO同級2位TJ・ドヘニー●(3日、東京・有明アリーナ)

 終わり方こそドヘニーの腰の負傷だったが、あれは尚弥のバズーカ砲のようなボディーブローを浴びた影響だろう。6回が終わってあのダメージなら次の回で終わるなと思っていた矢先の棄権だった。

 序盤からプレッシャーをかけ距離を詰めていたが、初回はほぼボディーしか打っていなかった。ドヘニーの意識を巧みに下(ボディー)に集中させ、タイミングを見計らって上(顔面)への攻撃に切り替えていた。サウスポースタイルのドヘニーは前足となる右足を大きく前に出し、間合いを詰められないように工夫してきた。途中までは効果的だったが、さすがに尚弥相手では長くは続かなかった。途中、パンチを出す王者におびえるような表情も見てとれた。

 正直、スーパーバンタム級で尚弥と名勝負を繰り広げられるライバルを探すのが難しい。誰が相手でもKO、TKOで勝ってしまうボクサーは、世界中探してもそういるものではない。今回の試合も判定では許されないという空気の中、しっかりTKOで勝ってしまうのだから頭が下がる。ボクサーとして今が「強さ」のピークを迎えているように感じる。(元WBC世界バンタム級王者・山中慎介)