<プロボクシング:WBO世界バンタム級タイトルマッチ12回戦>◇3日◇東京・有明アリーナWBO世界バンタム級1位比嘉大吾(29=志成)が約6年5カ月ぶりの世界王座返り咲きに失敗した。同級王者武居由樹(28=大橋)に挑戦し0-3で判定負け。注…

<プロボクシング:WBO世界バンタム級タイトルマッチ12回戦>◇3日◇東京・有明アリーナ

WBO世界バンタム級1位比嘉大吾(29=志成)が約6年5カ月ぶりの世界王座返り咲きに失敗した。

同級王者武居由樹(28=大橋)に挑戦し0-3で判定負け。注目の日本人対決で勝てず、WBC世界フライ級王座に続く王座獲得、世界2階級制覇はできなかった。

「いつものバンタム級の試合という感じ」と平常心でリングに立った比嘉は、18年4月、クリストファー・ロサレス(ニカラグア)との3度目防衛戦の前日計量で900グラムの体重超過でWBC世界フライ級王座を剥奪された。日本ボクシングコミッション(JBC)からライセンス無期限停止処分を受けた。自身の体重超過の責任を取って野木丈司トレーナー(64)が責任を取って所属ジムを辞める事態に。19年10月にJBCから処分解除されるまでの約1年5カ月間の「自粛生活」で食事などに誘い出してくれた1人は武居を指導する元世界3階級制覇王者八重樫東トレーナー(41)だった。感謝の気持ちを胸に秘めて武居戦に挑んだ。

20年2月の再起戦では2階級上のバンタム級でカムバック。ジェイソン・ブエナオブラ(フィリピン)から2度のダウンを奪って6回TKO勝ちした。約1年10カ月ぶりのリングで勝利したが、プロ生活を支えてくれた野木トレーナー不在の影響は大きく「夢を追って東京に出てきた当時の闘争心が今の自分にない、それがない限り、世界王者になるのは無理。こんな気持ちだったら意味がない。このままモチベーションが上がらなかったら辞めようと思っている」と吐露した。

すぐに環境を変えた。翌月には所属ジムを離脱し、野木トレーナーとの再タッグを組めるジムを模索。同トレーナーと同じ横浜に引っ越し、同6月には現在のジムに移籍した。20年大みそかに獲得したWBOアジア・パシフィック同級王座の初防衛戦では現IBF世界同級王者西田凌佑(六島)に敗れて後退した時期も乗り越え、6年5カ月ぶりの世界挑戦にこぎつけていた。

武居への挑戦が決まる数週間前のフィジカル練習中、比嘉は野木トレーナーに「自分に勝つのは気持ち良いですね」とモチベーションを上げた。野木トレーナーは「(処分解除の)復帰後、初めて聞いた言葉。それまでキツイと投げ出したりしていたが、天からぶら下がった1本の糸に感じた。今までの大吾と比べものにならない。ミット打ちでもパンチに気持ちが入っている」と手応えを示していたが、勝利には結びつけられず。引退危機を乗り越え、ようやくつかんだチャンスで世界王者に返り咲くことはできなかった。