静岡に陸上界で注目が集まり始めた11歳の快足ツインズがいる。静岡市立清水飯田東小5年の小森妃翠(ひすい)、姫華(ひめか)=ともに精華清水RC=だ。姉・小森妃は同学年による決勝レースでは「100戦以上負けなし」と無敵を誇る。22日には、小学…

 静岡に陸上界で注目が集まり始めた11歳の快足ツインズがいる。静岡市立清水飯田東小5年の小森妃翠(ひすい)、姫華(ひめか)=ともに精華清水RC=だ。姉・小森妃は同学年による決勝レースでは「100戦以上負けなし」と無敵を誇る。22日には、小学生の最高峰とも言われる「日清食品カップ全国小学生交流大会」に、小学5年女子100メートルの県代表として出場。国立競技場で表彰台の真ん中に立つ。

■全国トップ13秒39

 全国大会デビューへ、すべて整った。小森妃のエントリー記録13秒39は小学5年女子のトップだ。舞台は国立競技場。一流アスリートには常識となってきた、反発力のある厚底スパイクを用意した。「今の記録は全国1位なので(レースでも)1位を取りたいです。自己新を出して、いければ12秒台を出したいですが、13秒08の大会記録は狙いたいです」。レースへのビジョンをはっきり口にした。

 父・清敬さん(50)が陸上クラブ「精華清水RC」で代表を務める。父は中距離、母・弘美さん(50)は円盤投げで、ともに全国高校総体、日本学生対校選手権に出場経験がある。3人の兄を加えて陸上一家に生まれた双子は、幼稚園時代から陸上に親しんだ。県外の大会からもオファーを受けて出場してきた小森妃は、清敬さんによると「小学生の同学年に決勝レースで負けたことがない。100戦は超えていると思う」。さらに父は「私が唯一負けを見たのが幼稚園のマラソン大会で(妹の)姫華に…」と懐かしそうに振り返った。

■精神力&ストイック

 身長142センチで足のサイズは24センチもある。低い姿勢をキープするスタートダッシュが強みだが、最大の武器と言えるのが精神力。7月7日の小学生交流大会県予選(草薙)では、大会3日前に39・2度の高熱を出し、当日の予選も14秒67にとどまった。決勝までの2時間、自分で氷を体に当て、調整も行い「絶対に勝てる」と言い残すと、自己ベストの13秒39をたたき出した。

 清敬さんいわく「ストイック」。普段から貧血防止にほうれん草や煮干しなどを食べ、揚げ物は避ける。レース3日前からは炭水化物中心のメニュー。家で騒ぐことはあまりなく、動画で研究しているという。練習でつねに一緒の妹については「近くにいるライバルですが、リレーでは仲間。性格はちょっと怒るけどやさしいです」と笑った。

 同クラブ出身で、箱根駅伝にも出場した東海大・兵藤ジュダ(3年)が夏休みに訪れた際、「一緒に五輪に出よう」と声をかけてくれた。無敵の小学5年は、世界舞台への第一歩を国立のトラックから踏み出す。(武田 泰淳)

 ◆大会メモ 小森妃はこれまで県の地区小学生大会、県小学生選手権、県チャレンジカップなどで優勝を重ね、精鋭が集まるジュニアチャレンジカップ東京は小学1年から4年連続優勝。今回初出場する全国小学生交流大会は5、6年生が対象で100メートル、男女混合400メートルリレー、複合競技のコンバインドA、Bを実施。全国の選考会を経た有望株が集まり、小学生の短距離系大会では最高峰とも称される。

■妹・姫華は距離伸ばす方向「800メートルで五輪」

 〇…姫華は7月の交流大会県予選で13秒86の自己ベストで3位となり、東海小学生大会の出場権を獲得。8月17日の大会で3位だった。身長139㌢の妹は父・清敬さんによると「やさしい子」。姉・妃翠に200メートルでは勝っており、今後は距離を伸ばす方針だ。「800メートルで五輪に出て、田中希実さんのような選手になりたいです」。中長距離で次々に日本記録を塗り替える第一人者を目標に掲げた。