2017年9月2日、宮城県で初めてウルトラマラソン大会が開催されました。その名も、『第一回 みやぎ湯めぐりウルトラ遠足』。以前、MELOSではプレ大会の模様をご紹介しました。さらにコースが改良され、距離を100kmとして開催。今回、私はス…

 2017年9月2日、宮城県で初めてウルトラマラソン大会が開催されました。その名も、『第一回 みやぎ湯めぐりウルトラ遠足』。以前、MELOSではプレ大会の模様をご紹介しました。さらにコースが改良され、距離を100kmとして開催。今回、私はスイーパーとして本大会の全行程を走ってきましたので、その魅力を写真とともにたっぷりご紹介しましょう。

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全員前泊!おいしい食事とお酒で賑わう懇親会

 この大会における大きな特徴の1つが、選手は全員が“前泊必須”という点。宿泊先は作並温泉の老舗『岩松旅館』です。レース前に温泉宿で英気を養う……、すでに “湯めぐり”が始まっているんですね。ただし、岩松旅館では前泊して温泉を楽しんでもらうだけではありません。参加選手・スタッフを合わせた総勢約200名が一堂に会して、懇親会が開催されました。

 ランナーとスタッフが、一緒に食事と会話を楽しむ懇親会。ランニングという共通の話題があるため、初対面でも自然と打ち解けられたのではないでしょうか。懇親会を通じ、新しいランナー同士の輪が広がったという方も多いはずです。

 懇親会では牛たん焼きをはじめ、地元・宮城県の誇る美味がたくさん。バイキング形式で、皆さん思い思いに食事をテーブルへと運びます。もはや、大会より懇親会がメインなのではと錯覚するような雰囲気。私もついつい食べ過ぎてしまいました。

坂だらけの“エグい”コースは自然がいっぱい

 スタートは朝4時。まだ周囲が暗い中、続々とスタート地点にランナーが集まります。コースは全長約100kmとなっており、プレ大会を踏まえてさらに改良が加えられました。作並温泉を出発すると、青根温泉、峩々温泉、遠刈田温泉、そして秋保温泉へと走ります。まさに“湯めぐり”の名に相応しいコースではないでしょうか。

 台風の影響で雨が危ぶまれましたが、スタート時点では曇り空。その後、途中で何度か降り出したものの、さほど強い雨ではなく助かりました。気温が15度前後とほどよく、走るにはむしろ最適なコンディションです。

 記念撮影を終え、いよいよ大会がスタート。混雑を避けるため、1人ずつウェーブスタートで走り始めます。私はスイーパーのため、選手の皆さんを見送ってしばらく後にスタート。それでは、実際のコースをご紹介していきます。

前半は急坂だらけ

 スタート直後は平地ですが、皆さんすぐに驚かれたことでしょう。ニッカウイスキー仙台工場を過ぎると、いきなり急坂が待ち構えています。永遠と続く上り坂に、「こんなはずでは……」と序盤から歩いてしまった方がいるかもしれません。

 さらにそれだけでなく、前半は同じような急坂だらけ。登っては下り、そしてまた下る……。しかし大会参加者の皆さんは、それをむしろ喜ぶほどの凄いランナーばかりです。こういうコースを待ってましたと言わんばかりに、楽しそうな表情で坂道を掛けていく姿が印象的でした。

 個人的にもっとも厳しく感じたのは、青根温泉から峩々温泉へと向かう上り坂。プレ大会では最高点だった青根温泉から、さらに登り続けていく道です。

 峩々温泉は蔵王国定公園にあり、蔵王といえば有名な奥羽山脈に属する高山。知らずに走っていたランナーは、蔵王国定公園の看板を見て「どうりで……」と長く急な登り坂に納得した様子でした。

後半も終わらないアップダウンの連続

 峩々温泉を越えて、蔵王エコーラインを一気に下ると約60km地点の遠刈田温泉へ。ここまで来れば、残る温泉はゴールの秋保温泉のみです。

 前半に嫌というほどアップダウンを味わったランナー。見ていると、かなり脚に疲労が溜まり始めているようでした。中にはすでに走れず、それでも歩いてゴールを目指す方も。しかしふと周りを見渡せば、そこに広がる豊かな自然が疲れを吹き飛ばしてくれるかのように感じます。

 後半に、そこまで急な坂道はありません。しかしその代わり、平地も少なく、細かにアップダウンが繰り返されていました。いつもなら平気で走り抜ける程度の傾斜でも、疲れきった身体には壁のようにさえ感じられたかもしれません。

ゴールにはそれぞれの感動が

 大会の制限時間は15時間。しかし実は、“ゴールまで15時間”という考えで走ると、本大会の完走は難しいものでした。なぜならコース上にはゴール以外に3箇所の関門が設けられ、そのうち約90kmの関門制限が13時間だから。100kmを15時間なら平均9:00/kmペースで間に合いますが、90kmを13時間だと平均ペースは8:40/kmなのです。もちろん関門は事前に伝えられていますが、これに気付かず失敗したというランナーは、意外と多かったかもしれません。

 もちろん関門を知りつつ、「行ける限り走る」「次のエイドまで走る」「もう少しで過去最長だから」と、自分なりのゴールを見据えて走るランナーも。スイーパーとしてサポートしながら、皆さんの言葉と姿勢に刺激を受けました。

 それでも関門を乗り越えた、数多くのランナーたち。今回最後にゴールしたのは、これが初めてのウルトラマラソンだという女性ランナーでした。ゴールである秋保温泉が近づくと、自然と涙が。「遂にゴールだ」という安堵と感動、そしてこれまでの苦労を振り返ってのものでしょう。今回約150名のランナーが大会に参加しましたが、1人1人にドラマと感動があったはずです。

エイドでは地元の特産品を味わえる

 今大会では、エイドの充実度も特徴的でした。水やスポーツドリンク、炭酸飲料などのドリンクはもちろんのこと、各エイドでは地元の特産品がたくさん振る舞われます。

 笹かまぼこ、ずんだ餅、しそ巻、スイーツなど。疲れた身体に、温かくて具だくさんの温麺は最高でした。走りながら、その宮城の“美味い”も堪能できる大会です。

 しかもエイドでは、多くのスタッフが笑顔で迎えてくれます。ランナーの姿が見えると、遠くから手を振って「頑張れー!」と応援。そして、すぐに飲み物や食べ物を勧めてくれます。皆さんの温かな心とおもてなしは、きっとランナーの背中を押してくれたはずです。

 ちなみに、途中で経由する青根温泉や遠刈田温泉では入浴が可能。実際、温泉を楽しみながらしっかりゴールまでたどり着いたランナーが、大勢いらっしゃいました。また、途中でリタイアしてしまったランナーも、スタッフにより温泉まで送迎可能。疲れた身体で入る温泉は、また格別な癒やしとなってくれます。

 初開催ということもあり、まだまだ改善の余地はあるでしょう。例えば目印に気付かず、一部コースをロストしてしまったというランナーもいました。しかし、だからこそ次回の開催が楽しみな大会です。宮城県で生まれたウルトラマラソン大会、今後の展開にぜひご注目ください。

[筆者プロフィール]
三河 賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com

取材協力
みやぎ湯めぐりウルトラ遠足
https://www.miyagi-yumeguri.com/

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<Text&Photo:三河賢文>

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