<ダイヤモンドバックス-ドジャース>◇30日(日本時間31日)◇チェースフィールド【フェニックス(米アリゾナ州)30日(日本時間31日)=四竈衛】ドジャース大谷翔平投手(30)が、史上初の43本塁打&43盗塁の「43-43」を達成した。2回…

<ダイヤモンドバックス-ドジャース>◇30日(日本時間31日)◇チェースフィールド

【フェニックス(米アリゾナ州)30日(日本時間31日)=四竈衛】ドジャース大谷翔平投手(30)が、史上初の43本塁打&43盗塁の「43-43」を達成した。2回に今季43個目の盗塁に成功すると、8回には左翼席へ43号ソロを運び、一気に達成した。98年A・ロドリゲス(マリナーズ)がマークした「42本塁打&46盗塁」を上回る記録で、今後は前人未到の領域となる。同地初アーチでもあり、日本人最多を更新する29球場での本塁打となった。

   ◇   ◇    ◇

ためらいはなかった。9-5とリードした8回2死。大谷は速球2球で、簡単にカウント0-2と追い込まれた。無論、変化球は頭から消せない。だが、過去の傾向からも、高めの速球で誘って来る可能性は高い。球筋のイメージを脳裏に残し、狙い澄ました大谷の前に、真ん中への甘い速球が通用するはずもなかった。左翼席へ飛び込む一撃で「43-43」に到達。連日のように繰り返される記録の数々に、ロバーツ監督も「彼は信じられない。もはやこれ以上の言葉はないよ」と苦笑するしかなかった。

43個目の盗塁も、冷静な読みと確かな経験則に裏付けされた快走だった。右肘付近への死球で出塁し、ベッツの中犠飛後の1死一、三塁。3番フリーマンの打席で、大谷は当初、走る気配を消していた。だが、相手バッテリーは、けん制1球を挟み、3球連続でカットボールを含む速球系を続け、ファウルを含めカウント0-2と追い込んだ。

昨季17勝の右腕ゲーレンが、最終球として選択する確率が高いのは、球速140キロに満たない宝刀ナックルカーブかチェンジアップ。1球ごとにマカラフ一塁ベースコーチと確認した大谷は、ここでもためらうことなく、二塁へスタートを切った。本塁ベース前でバウンドしたナックルカーブを捕手が弾く間に43盗塁目に成功。二塁ベース上では涼しい顔のまま、ユニホームについた土を払った。

桁違いの遠くへ飛ばすパワー、傑出したスピードは言うまでもない。ただ、力任せにスイングし、やみくもに走っているわけではない。これまで、打撃では「難しいコースでも、しっかりといい形で振る」ことにこだわり、盗塁では「まず失敗、リスクを考える」と、自らのスタンスを明かしてきた。本能だけで数字を積み重ねてきたわけではない。常に相手投手、試合状況を洞察し、過去のデータなどを分析。自らの野球IQを高めながら、豪快なアーチと華麗な盗塁を「両立」させてきた。

同地初のアーチで、また新たな数字をレコードブックに刻んだ。残り27試合。今後「50ー50」を達成し、「究極の打者」となる可能性は高まってきた。その一方で、大谷が時速160キロ以上の速球を投げる「二刀流」であることも、忘れるわけにはいかない。

○…通算212勝左腕のド軍カーショーが、1回0/3を3失点で降板し、またしても負傷離脱のピンチに立たされた。2回無死からソロ本塁打を浴びた直後に交代。その後、左足親指痛と発表された。試合後は「とてもフラストレーションがある。(今後は)明日になってみないと分からない」と、神妙な表情で話した。ロバーツ監督によると、同箇所はカーショーの「古傷」で、1回に2失点した時点で異変を認識。被弾後に続投を断念した。それでも、残りの8回を7投手の継投でしのぎ、1点差で逃げ切った。同監督は「とても難しい1日だった」と大一番の4連戦の先勝後は、疲れ切った表情だった。