ほぼ1カ月間守ってきた首位の座を再び巨人に明け渡した広島。勝負どころで息切れした昨年の二の舞となるのか、それとも6年ぶりのV奪還に成功するのか。デイリースポーツ評論家の安仁屋宗八氏は「去年の経験は自信になっているはず」とする一方で、思わぬ…

 ほぼ1カ月間守ってきた首位の座を再び巨人に明け渡した広島。勝負どころで息切れした昨年の二の舞となるのか、それとも6年ぶりのV奪還に成功するのか。デイリースポーツ評論家の安仁屋宗八氏は「去年の経験は自信になっているはず」とする一方で、思わぬ“刺客”の存在に要注意マークをつけた。(数字は8月30日現在)

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 広島は残り30試合。いよいよラストスパートだね。去年は貯金15のカベをついに越えることなく阪神に突き放されて2位に終わったが、今年はどうかな。真価を問われる1カ月になるだろうね。そこで注目したいのは、今後も他球団がぶつけてくると予想される左投手の攻略だ。

 相性の悪い中日(7勝11敗1分け)とまだ6試合残しているが、相性のいいヤクルト戦(11勝5敗)が9試合ある。そこでしっかり星を稼ぎたいところだけど、これが決して侮れない。

 聞いたところでは、どうやらカープが苦手にしていて、このところ2連敗している左の高橋奎二を集中的に先発させてくる可能性があるということ。

 (今季5勝7敗の高橋奎二は広島戦に限ると2勝1敗1ホールド。36回を投げて自責点は7。対戦防御率は1・75という非常に安定した数字だ)

 30日の先発はこの高橋奎二のようだが、このあとも広島戦にとっておいて投げさせるという話みたい。

 高津監督にも意地があるだろうからね。このままでは終われないと思っているはずですよ。新井監督は高校(広島工)の後輩だし、九里は大学(亜大)の後輩。九里には“お前には勝たさん”と冗談交じりに話していたらしい。でも本音でしょう。

 日程を見ると9月の後半から10月にかけて、1週間置きにヤクルト戦が3回も組まれている。雨のイタズラとはいえ、可能性十分だね。

 高橋と言えば、阪神の高橋遙人にも連敗しているから登板日を合わせてくるかもしれない。中日の高橋宏斗は右投手だけど、この“3人の高橋”にカープは弱いからね。

 (高橋遙人は今季、広島戦2勝0敗、防御率0・82。高橋宏斗は同じく3勝0敗、防御率0・30)

 残り試合の中で3人の高橋(広島戦は合計7勝1敗)が何試合投げてくるのか分からないが、とにかく打たないとね。

 さて肝心の打線を見ると、球宴後、坂倉のバットに当たりが出てきたのはいいが、ここへ来て小園や野間の調子が落ちてきているのがやや心配。投手陣に関しては先発の降板が少し早くなっているのが気になる。

 先発陣は頑張らないといけない。1年間、しっかり“1週間の休養”を取りながら投げているのだから疲労などないはずだ。あるとすれば練習不足が原因でしょう。疲れているのはリリーフ投手ですよ。

 9月中旬に予定されている巨人、阪神との直接対決が当面の山場になるのだろうが、この先はすべて大事な試合になる。DeNAも加わり4球団の争いになってきたが、目の前の試合に集中し、1つずつ取っていくことだね。