29日からジョージア州のイーストレイクゴルフクラブで、プレーオフシリーズ最終戦、優勝賞金2500万ドルのツアー選手権が開催される。ツアー選手権は、プレーオフシリーズ2戦目となるBMW選手権までのフェデックスカップランクが30位までの選手が出…

29日からジョージア州のイーストレイクゴルフクラブで、プレーオフシリーズ最終戦、優勝賞金2500万ドルのツアー選手権が開催される。

ツアー選手権は、プレーオフシリーズ2戦目となるBMW選手権までのフェデックスカップランクが30位までの選手が出場できる。ランク1位の選手が-10から、2位が-8から、3位が-7から、4位が-6から、26位から30位が±0から、というように、ランクに応じてハンデが設定され、大会勝者が年間王者となる。この形式は2019年からである。

今回、松山英樹は-7からのスタート。プレーオフシリーズ開幕前はランクが8位だったが、開幕戦のフェデックス・セントジュード選手権での優勝により3位に上昇した。BMW選手権は腰痛により2日目スタート前に棄権となったが、ランクは3位のままで7打のハンデ獲得となった。

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体の状態が気になるところではあるが、パリ五輪銅メダル獲得、プレーオフシリーズ初戦優勝、BMW選手権初日2位発進と、ゴルフの調子自体の良さは感じさせており、初の年間王者のタイトル獲得に期待が膨らむ。

松山英樹 ツアー選手権(2019~)成績

■4打未満のハンデの優勝者なし

フェデックスカップランク上位ということは、シーズンを通じての安定感やポイントが高いプレーオフシリーズに入ってからの成績が良いということ。それだけでも他の選手より優位に立てるところに、ハンデの設定がある。

2019年以降の5回で、ランク1位で迎えた選手の優勝が2回。20年のダスティン・ジョンソンと21年のパトリック・カントレーだ。23年は、ランク2位で迎えたビクトル・ホブランが優勝した。

ツアー選手権出場30人全員に年間王者の可能性があるが、数字以上にハンデの影響は大きいようだ。松山の7打のハンデは大きなアドバンテージになる。

4打未満のハンデで優勝した選手はおらず、ランク7位からの逆転が最も下位からの逆転。ローリー・マキロイが2022年に-4からのスタートで優勝した。

4打以上のハンデがある選手はランク10位までの10名。スコッティ・シェフラー、ザンダー・シャウフェレ、松山、キーガン・ブラッドリー、ルドヴィグ・オーバーグ、ローリー・マキロイ、コリン・モリカワ、ウィンダム・クラーク、サム・バーンズ、パトリック・カントレーだ。

ツアー選手権 歴代優勝者(2019~)の大会前ランクとハンデ

ツアー選手権2024 4打以上のハンデがある選手10名

■高いアイアンショットとパッティングの安定感

松山はパットが好調だ。今季103位のSG:パッティングが、パリ五輪で9位、フェデックス・セントジュード選手権で1位、BMW選手権初日が13位。パットの安定感が向上傾向にある。

また、グリーンを狙うショットの安定感も高い。今季18位のSG:アプローチザグリーンが、パリ五輪で10位、フェデックス・セントジュード選手権で3位、BMW選手権初日が4位だった。

ゴルフの調子だけでいえば、ツアー選手権では優勝候補に挙げられても不思議ではない。

■健康面次第か

問題は腰の状態である。BMW選手権の時は、初日スタート前の時点で腰痛に加えて体調不良もあり、出場が危ぶまれていたようだ。

2日目以降、無理をしてプレー続行し、最高の結果を得られた場合、ランクは3位から2位になり、ツアー選手権のハンデは1打増えた。

棄権の場合、最悪3位から4位に下がり、ハンデが1打減る可能性があった。

BMW選手権でプレーを続行するのと棄権するのとでは、最大で2打、ツアー選手権でのハンデが変わる可能性があったのだ。

多くハンデを得るために、腰痛悪化でツアー選手権に出場できなくなるリスクを抱えてプレーを続行するよりも、不安要素を抑えて大舞台にかけることを選んだのだろう。

結果はランク3位のままでツアー選手権に臨む。

BMW選手権の棄権があったからか、米ツアー公式サイトの優勝予想は12番手となっているが、その予想を覆し、体の不安を感じさせないプレーで年間王者のタイトルを手中に収めて欲しい。

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著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。