パリ五輪のホッケー女子で10位になったホッケー女子日本代表「さくらジャパン」の及川栞(しほり)選手(タカラベルモント所属)が27日、盛岡ヘアメイク専門学校(盛岡市盛岡駅前北通)を訪れ、「私の〝美しい人生を、かなえる〟ために。」と題して講演…

 パリ五輪のホッケー女子で10位になったホッケー女子日本代表「さくらジャパン」の及川栞(しほり)選手(タカラベルモント所属)が27日、盛岡ヘアメイク専門学校(盛岡市盛岡駅前北通)を訪れ、「私の〝美しい人生を、かなえる〟ために。」と題して講演した。

 及川選手は岩手町出身。母はホッケー日本代表で、初めてホッケーをしたのは3歳。ただ、幼少期には美容師を目指していたといい、2022年には理美容機器などを扱うタカラベルモントに入社。アスリートとして活躍する一方、同社の化粧品のモデルや雑誌にも登場するなど様々な分野で活躍中だ。

 講演には美容師や理容師、ネイリストなどを目指す1年生96人が参加した。

 及川選手は2016年のリオデジャネイロ五輪で最終メンバーから外れた経験を持つ。当時は「なぜホッケーをしているのか」と真剣に悩み、世界ランク1位のオランダに単身で渡り、クラブチームで経験を積んだ。

 自分を見つめ直し、原点に戻って再スタートしてつかんだ東京五輪代表。「すべての時間を楽しむことができ、最後の1秒まで戦えた」と振り返った。

 しかし、コロナ禍の影響で無観客試合となり、結果は5戦全敗。「ピッチで恩返ししたい。最高の舞台で、最高のパフォーマンスを見てもらいたい」という思いが強まり、再び五輪への出場を目指したという。

 パリでは及川選手がチーム最年長。「チームファースト」を掲げるニュージーランド人の監督と、選手たちを結びつける通訳としても欠かせない存在だった。若い選手に寄り添い、孤立しないような雰囲気づくりを心がけた。チームの要として全試合にも出場し、フランスに勝って五輪では3大会ぶりとなる白星獲得にも貢献した。

 苦難を乗り越えてきた根底には「大好きなホッケーを心から楽しむ」という気持ちがあった。両親をはじめ、これまで支えてくれた人々への感謝の思いも強く持っていたという。

 及川選手は日ごろから大切にしていることも紹介。「周りの人、モノへの感謝」「毎日、その日のベストを尽くす」「自分の気持ちと正直に向き合う」などを挙げ、さらに睡眠や栄養の取り方、ホッケーについて全く考えないオフの時間を作ることなど実践している取り組みを明らかにした。

 サイン色紙を持参して出席した理容師志望の主浜友聖さん(18)は「何事にも挑戦する姿がよかった。挫折や責任がある中でも、楽しんで挑戦していこうと思いました」と話していた。(小幡淳一)