【パラカヌーはこんな競技!】3度めのパラリンピックに挑む瀬立モニカ選手 写真/越智貴雄◆下肢に障害のある選手たちの競技!◆艇やパドルの形状が異なる「カヤック」と「ヴァー」の2種目がある!◆カヤックでは時速18kmの速さで200mを疾走!◆東…
【パラカヌーはこんな競技!】
◆下肢に障害のある選手たちの競技!
◆艇やパドルの形状が異なる「カヤック」と「ヴァー」の2種目がある!
◆カヤックでは時速18kmの速さで200mを疾走!
◆東京2020パラリンピックから「ヴァー」が追加!
【基本ルールと見どころ】
使用する艇やパドルの形状や漕ぎ方が異なる「カヤック」(K)と「ヴァー」(V)の2種類があり、いずれも200mの直線コースのタイムを男女別に競う。1コースの幅は9mで、その中央部分の4m幅の漕行エリアを進まなければならず、左右どちらにはみ出してもコースアウトで失格となる。
クラスは障害の程度によりL1~3の3つに分けられる。パリ2024パラリンピックでは、男女いずれもカヤックはKL1~3の3クラス、ヴァーはVL2~3の2クラスを実施。
「カヤック」は両端にブレードが付いたダブルブレードパドルを使用し、左右交互に漕ぐ。競技用カヤックの長さは最大5m20cmにもなり、重さは最低でも12kgある。
「ヴァー」は太平洋地域では古くから使われてきたとされる、左右いずれかにアウトリガー(浮き具)を付けた艇に乗り、片側のみブレードが付いたシングルブレードパドルで漕ぐ。アルファベットの「J」の字を描くようにしてパドルを漕ぐため「Jストローク」と呼ばれる。艇の長さはカヤック以上で、最大7m30cmにもなり、直進性能を高めるために長い艇に乗る選手が多い。いずれもシートは各選手の身体や障がいに合うようにして作られた特注で、特に体幹がきかない選手にとってはシートのフィッティングもパフォーマンスを左右する重要な要素となる。
選手は主に下半身や胴体に障害があるため、上半身のパワーや使い方がポイント。効率よく推進力を生み出す漕ぎ方を習得するためにフィジカル強化とともに、磨かれたパドリング技術が重要となる。
パラスポーツのなかでは比較的歴史が新しく、2010年に初めて世界選手権が行われ、パラリンピックでは、2016年リオデジャネイロ大会で初めて実施。リオでは「カヤック」のみの実施だったが、東京2020パラリンピックから「ヴァー」が追加された。
特にヨーロッパでは人気が高く盛んな競技で、パラ水泳や車いすバスケットボールの元代表など他競技から転向した選手もいる。毎年開催されている世界選手権やワールドカップなどの国際大会は、ほとんどがヨーロッパで行われ、健常者のカヌー競技と一緒に開催されている。
【パリ2024パラリンピックの注目!】
競技人口の増加に伴い、東京2020パラリンピックでは「ヴァー」が追加。そしてパリ2024パラリンピックでは東京では1クラスのみの実施だったヴァーの女子は男子と同じく2クラスの実施となる。日本代表もリオは瀬立モニカのみの出場だったが、東京では6人と最多。パリでは4人が出場する。なかでも3大会連続で出場の瀬立が“3度目の正直”で日本パラカヌー界初のメダル獲得となるかが注目される。