「全国高校野球選手権・準決勝、関東第一2-1神村学園」(21日、甲子園球場) 準決勝が行われ、関東第一(東東京)と京都国際が23日の決勝に進んだ。ともに春夏通じて初優勝が懸かる。関東第一は九回のピンチで飛田優悟外野手(3年)が好返球でリー…

 「全国高校野球選手権・準決勝、関東第一2-1神村学園」(21日、甲子園球場)

 準決勝が行われ、関東第一(東東京)と京都国際が23日の決勝に進んだ。ともに春夏通じて初優勝が懸かる。関東第一は九回のピンチで飛田優悟外野手(3年)が好返球でリードを守り、神村学園(鹿児島)に勝利した。22日は休養日で、決勝では関東第一が勝てば、東京勢では2011年に優勝した日大三(西東京)以来13年ぶり。京都国際が勝てば、京都勢では1956年の平安(現龍谷大平安)以来68年ぶりの全国制覇となる。

 一瞬の静寂の後、甲子園が大歓声に包まれた。勝利へと一直線に放たれた返球。関東第一が劇的な幕切れで、初となる夏の決勝進出を決めた。

 1点リードの九回だ。エース・坂井遼投手(3年)が招いた2死一、二塁の危機。代打・玉城功大内野手が放った打球は二遊間を破った。「やばいと思いました」(坂井)。次の瞬間、前進してきた中堅・飛田が打球を捕球し、本塁へノーバウンド送球。熊谷俊乃介捕手(3年)が落ち着いて二走をタッチアウトとした。

 四回に中前打で先制点を奪われ、クーリングタイム中に米沢監督から「もっと詰めて良いぞ」と助言を受けた。「頭を越えることはないと思っていました。1ヒットでかえってくると思ったので1歩目から前に行こうと」。反省を生かし、万全の準備で好守につなげた。

 聖地に刻まれた「奇跡」をほうふつとさせた。1996年夏、松山商-熊本工の決勝。同点の延長十回裏に1死満塁で松山商の右翼・矢野勝嗣外野手が大飛球を捕球し、本塁へダイレクト返球。サヨナラを阻止し同校27年ぶりの優勝につなげ「奇跡のバックホーム」と称された。くしくも、28年前のこの日の出来事だ。

 ただ、今大会の関東第一の軌跡をたどれば必然のプレーだろう。堅守で4強まで勝ち上がり、この日も隙のない守備を重ねた。0-1の七回1死では、左翼・坂本慎太郎外野手(2年)が地面スレスレのダイビングキャッチ。直後の攻撃で逆転に成功した。「日頃から打球を予想しろと伝えています。ウチは守備のチーム」と米沢監督。鉄壁の守りを武器に、春夏通じて初の頂点へ挑む。

 ◆奇跡のバックホーム 夏の甲子園で語り継がれるのが、1996年の松山商と熊本工の決勝。延長十回裏1死満塁という熊本工のサヨナラの好機で、右翼の守備固めに入った松山商・矢野勝嗣外野手が飛球を処理後、本塁へのダイレクト返球でタッチアップを阻止。優勝を導くビッグプレーとなったが、くしくも日付はこの日と同じ8月21日だった。